24日夜、TBSの『報道特集』は26日放送予定の【参政党の“メディア排除”を問う】と題する番組内容を次のように予告した。
「参院選の結果、与党が過半数割れの一方、大躍進をはたした国民民主党と参政党。選挙区で何が起きていたのか? そして選挙後、公の党でありながら一部の報道機関の会見取材を拒否したのはなぜか? 参政党の“メディア排除”を問う」
しかし、参政党のメディア排除は「選挙後」だけではなく、「選挙中」から始まっていた。同日(24日)公開の「参院選で躍進の参政党の正体――疑似安倍チルトレン(神谷チルドレン)の大量出現」で紹介した茨城街宣後の神谷代表の囲み取材(13日)以降、囲みへの参加が不可となったのだ。
このことについて『日刊ゲンダイ』の取材を受けた私は以下のようにコメント、「参政党の公党にあるまじき『メディア排除』気質…会見場から神奈川新聞の批判記者を締め出し」と銘打った25日の記事のなかで次のように紹介された。
「17日に大阪や京都の街頭演説会場で神谷代表の囲み取材に入ろうとすると、党スタッフに制止され、取材が認められませんでした。それまでは街頭演説会場で神谷代表に取材できていたので、理由を聞くと『事前登録が必要』『本部からの指示』とのこと。党から取材対応の案内メールがきていたが、事前登録の説明はなかった。都合の悪い質問をする記者を排除していると捉えられても仕方ないでしょう」

13日の茨城街宣後の囲み取材で私は、戦争責任や植民地支配を否定する神谷代表や桜井祥子候補(現・参院議員)の歴史認識について問いただしたが(24日の本サイト記事参照)、4日後の17日になると、街宣後の囲み取材への参加ができなくなってしまったのだ。22日の参院選後の会見から排除された神奈川新聞の記者と同様、参加不可の理由は「事前登録が必要」であったが、参政党本部の広報担当者から街宣日程を知らせるメールには、事前申請が必要との記載はなく、しかも13日の茨城街宣までは以下のように事前申請なしで囲みに参加できていたのだ。メディア排除(囲み参加不可)に至る経過は以下の通りだ。
◎6月30日 梅村みずほ参院議員出馬会見(議員会館で神谷代表同席。参政党憲法案などについて質問)
◎7月4日 神谷代表が兵庫選挙区・藤原誠也候補の応援演説(ぶら下がりでコメ問題などについて質問)
◎7月5日 神谷代表が大阪選挙区・宮出千慧候補の応援演説(囲みでカジノ推進の維新などについて質問)
●7月13日 神谷代表が茨城選挙区・桜井祥子候補の応援演説(囲みで戦争責任否定など歴史認識について質問。前掲24日付記事参照)
×7月17日 神谷代表が京都選挙区で谷口青人候補の応援演説(囲みへの参加不可)
×7月17日 神谷代表が大阪選挙区で宮出千慧候補の応援演説(囲みへの参加不可)
×7月17日 神谷代表が兵庫選挙区で藤原誠也候補の応援演説(囲みへの参加不可)
都合が悪い質問をする記者を排除する参政党の“報道差別”は、一連の経過を見れば一目瞭然なのだ。途中から囲み参加不可となった私の接近をスタッフが阻むなか、囲み取材中の神谷代表に向かって「参政党は(外国人)差別反対と言いながら報道差別をするのか。言行不一致ではないか」と大声を張り上げたのはこのためだ。
記者が会見への参加を拒まれた神奈川新聞は23日、神谷代表宛ての抗議文を出し、次のように訴えた。
「市民の知る権利をないがしろにする行為で到底容認できない」「他の報道機関にも同様のことを行いかねないとの懸念を抱かせる」
この懸念は的中していた。フリー記者に対しても選挙中から排除していたからだ。
ちなみに会見参加不可となった神奈川新聞の記者は、神奈川選挙区で当選した初鹿野裕樹氏を批判する記事を繰り返し書いていたという。都合の悪い質問をする批判的記者を会見や囲みに参加させない差別的報道対応(記者排除)は、参政党の一貫した姿勢といえるのだ。
自分たちに都合が良い質疑応答だけ発信しようとする参政党は、同じように私への出禁(会見参加不可)を続ける国民民主党と瓜二つ。ルール違反をデッチ上げる手口もよく似ている(本サイトの国民民主党関連記事参照)。今回の参院選で躍進した参政党と国民民主党は、いずれも国民の知る権利をないがしろにする危険な体質を有しているのだ。
【ジャーナリスト/横田一】