2024年04月19日( 金 )

し烈さを増す寿命延長レース~125歳まで生きますか?それとも1000歳まで?(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

国際政治経済学者・参議院議員 浜田 和幸 氏
日本らしい健康寿命の計画を

 自然との調和を大切に、旬の食材や周囲との絆を長寿の源としてきた日本的なアプローチでは、いくら健康に留意しても125歳あたりが限界といわれる。しかし、最新の医学研究や科学技術の恩恵を活かせば、桁違いの寿命1,000歳も可能になるかも知れない。「願えば叶う」と言うが、国家目標として巨額の軍事予算を投入し「不死身の兵士」を生み出そうとするアメリカ。


 一方、この世に生を受けたことに感謝し、自然な天寿を全うすることに満足する日本。どちらの願いを選択すべきか。「カオスの時代の幕開き」と見られる2016年。グレイ博士曰く「2016年の時点で40歳以下の人なら、事故や自殺に運命を左右されない限り、大かたの場合、これから数世紀にわたって生きることが可能になる」。


 また、カリフォルニア大学の進化生物学のマイケル・ローズ教授も「現在、不死の研究にまい進している。20年前には抗加齢や若返りの研究は胡散臭いものと見なされていた。しかし、今ではれっきとした学問になった」と述べ、果実や野菜の害虫を実験材料に延命研究の分野で新たな発見を相次いで発表している。


 「初夢」と笑っていただいても結構だが、アメリカの国立衛生研究所(NIH)でも心臓病やガン以外に寿命延長研究資金を年間24億ドル投入しているのである。同種の研究はロシアや中国でも進められている。改めて生命の在り方が問われる局面が増えることになりそうだ。


 現にアメリカでは議会でも宗教界でも、「どこまで人工的な寿命1,000歳化を認めるべきか」について大きな議論が沸き起こっている。家庭や労働の在り方を含め、人間としての価値観が根本的に変わるからだ。少子高齢化の日本こそ、こうした問題に無関心でいるわけにはいかないだろう。世界の動向も踏まえた上で、日本らしい健康寿命の設計図を打ち出す必要がある。

(了)


<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。

 

関連記事