NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、10月3日付の記事を紹介する。
このところ事あるごとに自慢の「関税砲」をぶっ放し、世界中を混乱の極みに追いやっているトランプ大統領です。日本でアメリカ車が売れないのは、「日本の安全基準がオカシイからだ」と主張。その理由付けに持ち出したのが「日本では6メートルも上からボーリングの球をボンネットの上に落下させ、傷が付いたら不合格にするような安全基準検査が行われている」という真っ赤なウソ。よくもこんなウソを平気で次から次へと繰り出すものと聞く耳を疑うばかりです。
先月もニューヨークの国連本部を演説のために訪問した際にもウソ爆弾が炸裂しました。最初のウソは、メラニア夫人と共に乗ったエスカレーターが突然停止したことについてです。トランプ氏曰く「国連の内部にテロリストが隠れている。俺とメラニアに危害を加えようとしてエスカレーターに細工をしたようだ。すぐさま、犯人を見つけ出せ!」。ところが、実際は、ホワイトハウスのカメラマンがエスカレーターの降り口側で写真を撮ろうとして警報装置を踏んだため、一時停止しただけの話です。
次のウソは、国連の演題に立ち、いざ演説を始めようとしたところ、原稿を映し出すプロンプターが真っ黒になり、トランプ氏は持参したメモを頼りに話をせざるを得ませんでした。当惑したトランプ氏曰く「国連の内部に巣くうアンチ・トランプ職員が細工をし、俺の演説を妨害しようとした。こんないい加減な国連には我慢できない」。しかし、演台に立つのが大統領であろうと首相であろうと、プロンプターを操作するのはその国のスタッフが行うことになっているのです。トランプ氏の前も後も、演台に立った国家元首のプロンプターは何ら問題なく動いていました。要は、ホワイトハウスのスタッフの操作ミスだったのです。
3番目のウソは、同時通訳の音声が遮断されて、最前列に座っていたメラニア夫人ですら、トランプ氏の発言をイヤホンで聞けなかったということです。ところが、メラニア夫人がイヤホンの使い方に慣れていなかった模様で、彼女以外の参加者は皆、同時通訳の音声を聞いていたといいます。
そもそも、英語で演説していたトランプ氏の発言をメラニア夫人が何語の同時通訳で確認していたというのでしょうか。あり得ない話です。しかし、これも含めて、トランプ氏は「国連本部は俺を傷つけ、嫌がらせをしようと3つの犯罪行為を平気で行った。国連を訴えてやる」と息巻くばかりでした。一事が万事で、トランプ氏が直面した不都合は全て、彼の身内のスタッフのミスだったのです。
トランプ氏を23歳の時から指導してきた「マフィア弁護士」によれば、「俺もトランプも似た者同士。勝つためには手段を選ぶ必要はない。ウソの付き方が大事だ」とのこと。「ウソも方便」とはいえ、トランプ氏のウソは余りにも底が浅いものばかりです。近く誕生する日本の新総理は10月末に来日予定のトランプ大統領と向き合うことになりますが、ゆめゆめトランプ流のウソにはご用心!
さて、そんな筋金入りのウソつき名人のトランプ氏ですが、新たな発言で世界を驚かしています。何かと言えば、「アメリカは今やタイムトラベルを開発できるようになった」とのビックリ発言です。ホワイトハウスの科学技術政策局の責任者も「時間と空間を自由に操作できる」とトランプ発言を裏書きしています。
要は、関税戦争にせよ、タイムトラベルにせよ、言ったもの勝ちのようで、閣僚も事務方も「トランプ皇帝のおっしゃる通り」で異議を唱えることはありません。もしそんなことをすれば、即「You are fired ! (お前はクビだ!)」となるからでしょう。
では、タイムマシーンに乗ってトランプ氏はいつの時代のどこに行こうとしているのでしょうか?79歳のトランプ氏ですが、20代に若返り、そのまま全世界を支配する皇帝の座を目指すつもりかもしれません。
何しろ、このままでは来年の中間選挙を待つまでもなく、アメリカの多くの有権者からはお払い箱になりかねないからです。そうなれば、即、刑務所行きの不名誉な運命になりかねません。それでなくとも、議会の審議は膠着状態に陥り、予算の執行ができなくなってしまい、10月1日には政府機関の一部が閉鎖されてしまいました。
また、不倫疑惑のもみ消しに政治資金を流用したとの不名誉な訴えに加え、カリフォルニアをはじめ多くの州知事や議会関係者から「国家非常事態特権」を悪用し、関税戦争を仕掛けていると非難を浴びてばかりのトランプ氏です。
そうした不名誉かつ危機的な状況から逃れるためにタイムマシーンで別世界に旅立とうというのでしょうか?
著者:浜田和幸
【Blog】http://ameblo.jp/hamada-kazuyuki
【Homepage】http://www.hamadakazuyuki.com
【Facebook】https://www.facebook.com/Dr.hamadakazuyuki
【Twitter】https://twitter.com/hamada_kazuyuki