【地価調査2025福岡・その他】郊外駅近で上昇顕著に

 ほか4区で2ケタ増となった基準地は、西区7、東区5、南区4、城南区2。4区のうち最も上昇率が高かったのは、「姪の浜4-9-12」(16.4%増)。姪浜駅から徒歩2分、駅前立地の4階建クリニックビルで、県内商業地の上昇率ランキングでも3位につけた。20年に基準地となって以降は大幅な上昇を続け、5年で地価は1.9倍の74万円/m2となった。

 2位は「西都1-18-10」(15.9%増)。JR九大学研都市駅から徒歩6分、国道202号沿いの飲食店舗で、こちらも20年に基準地となって以降は大幅な上昇を続け、5年で地価は1.7倍近くとなる26万9,000円/m2となった。周辺にはイオンモール福岡伊都をはじめ、ドラッグストアなど低層店舗が集積するほか、24年には店舗付きの大型賃貸マンションが2棟竣工したことも記憶に新しい。

 また、JR九大学研都市駅から徒歩2分の立地では、作州商事(株)(福岡市博多区)が分譲マンション・エイルマンション九大学研都市(全25戸)の開発を進めている。また、セントラル総合開発(株)(東京都千代田区)もJR九大学研都市駅から徒歩4分の立地で分譲マンション・クレアネクスト九大学研都市駅前(全30戸)、徒歩8分の立地でクレアネクスト九大学研都市 ザ・レジデンス(全47戸)の開発を進めている。

 3位は早良街道沿いの「荒江1-28-20」(14.4%増)で、2ケタ増は4年連続。地価は13年比で2.1倍の41万2,000円/m2となった。早良街道と国道202号が交わる「荒江」交差点にも近い3階建クリニックビルで、通り沿いには銀行や店舗、マンションなどが建ち並ぶ。

 4位は同率で「箱崎3-32-10」(13.3%増)および「みなと香椎2-2-1」(13.3%増)。「箱崎3-32-10」は再開発が計画されている九州大学箱崎キャンパス跡地に接するエリアで、地下鉄・箱崎九大前駅から徒歩2分という立地。近年は高い上昇率で推移しており、県内住宅地の上昇率で1位となった。

 箱崎キャンパス跡地では、住友商事(株)(東京都千代田区)などで構成されるグループが再開発計画を進めているほか、道路インフラなどの整備も進む。今年5月には、箱崎キャンパス跡地の中央部を東西に横断する都市計画道路「堅粕箱崎線」が供用を開始。南北方向に延びる都市計画道路などの整備も進む。JR鹿児島本線の千早~箱崎駅間には新駅も設置予定で、27年の開業目標となっている。

 「みなと香椎2-2-1」は、前年に基準地となったアイランドシティ西側の「みなとづくりエリア」に位置する4階建の大型物流倉庫で、大幅な上昇となった。工業地平均(福岡市)は伸びこそ鈍化したが、住宅地平均(福岡市)7.2%増、商業地平均(福岡市)10.2%増と比べても11.8%増と依然として大幅な上昇率で推移している。

【永上隼人】

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地価調査2025福岡・早良区

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