二場元ガバナーの権勢の栄枯盛衰物語(5)~ガバナー選をめぐる異変とロビー活動の実態

世界的な奉仕団体である『ライオンズクラブ』。その慈善運動は社会的に広く認知されている。ところがライオンズクラブの複数の会員から「福岡地区=337-A地区には問題がある」との情報が入ってきた。本来国際奉仕団体としての活動は名誉栄達ではなく、純粋な社会貢献にある。

ライオンズ国際協会337-A地区元ガバナー
二場安之氏

ガバナー候補は国際大会前に研修

 「ライオニズムの掲げる高邁な理念が失われているのではないか」という黒木善弘氏の危機感は少なからず、337-A地区の心ある会員には共有されていた。一度はライオンズクラブからのリタイアも考えたが、心ある同志の支えもあり、活動継続を決意した。

 黒木氏が福岡玄海ライオンズクラブを退会して、福岡博多ライオンズクラブに入会後の2016年、福岡市において「第99回ライオンズクラブ国際大会」(6月24日から28日)が開催され、約120カ国・地域から約3万8,000人が参加した。

 国際大会の主催はライオンズクラブ国際協会本部であるが、受け入れ側の福岡市では「ライオンズクラブ国際大会ホスト委員会」を発足させ、運営をサポートする役割を担った。ホスト委員会に付設するかたちで「パレード委員会」や「親睦・バザール委員会」など18の委員会がつくられ、裏方を務めた。

 18の委員会の1つに「DGEセミナー委員会」がある。同委員会の委員長を務めたのが黒木氏であった。なお、黒木氏は12年に福岡で開催された「第51回東洋東南アジア・ライオンズ・フォーラム」の総務委員会通訳部会長などを務めている。DGEとは、「District Governor Elect」の略で、District Governorは「地区ガバナー」を意味する。地区における国際協会の役員である。

 エレクトとは次期ガバナー候補の意味で、エレクトは国際大会前の3日間にわたってガバナーとしての役割や心構えなどを学ぶセミナーを受講する。福岡大会ではエレクト755名と、その同伴者や関係者1,600名が、事前セミナー前に福岡入りし、真摯に研修を受講している。その歓迎・おもてなしを「DGEセミナー委員会」が担った。

 ガバナーはライオンズ国際協会会長の代理の役割を担う各地区トップリーダーだ。第二副地区ガバナーから信任投票が行われ、信任を受けると第一副地区ガバナーとなり、その次に福岡でいえば「337-A地区」のガバナーに就任する。県内各地のライオンズクラブを統括する立場となる。1年で交代するが、退任後も1年は前ガバナーとして活動する。いずれも1年ごとに選出されるため、ガバナーの肩書がつくのは4年間におよぶのである。

ガバナー選前に露骨なロビー活動

 当然、ガバナー候補になるためには厳しい研修を受け、人格、品格、品性、ライオンズクラブでの貢献度などが問われる。尊敬される知識や資質、人格を備えた人物でなければならない。

 ところが、17-18年度の337-A地区ガバナー予定者の選出をめぐり、ガバナーになりたいがために、投票権を有する会員(代議員)に金品の贈呈をした者がいたのだ。

 「高級和菓子の詰め合わせが、送られてきた」「当該ガバナー候補者からの『よろしく』という選挙運動的意味合いを感じた」「候補者の側近の人から手紙が届いた」など複数の証言がある。

 ライオンズクラブの規約上、公職選挙法のようなルールはなく、金品や高級菓子をばらまくことについて禁止する規定はない。しかし、ライオンズクラブの精神は「我々は奉仕する」(We Serve)であるはずだ。買収工作といってよい動きに、心あるライオンズ会員は眉をひそめ、憂慮の声を上げた。

 この「側近の人」とは、以前記事で紹介した九州豪雨災害対策本部の実行委員長を務めた二場安之氏である。この時期、二場氏はキャビネット幹事の立場にあった。災害復興に尽力したことは事実で、評価もされている。一方で、その立場を利用しての行動が問題視された。自身、あるいは自分に近い人物を然るべき立場につけるためになんでもやるというのは、政治家と同じであろう。

 キャビネットとは、地区ガバナー・キャビネットの略。議長としての地区ガバナー、前地区ガバナー、地区名誉顧問会議長、キャビネット幹事、キャビネット会計、リジョンチェアパーソン(RC)、ゾーンチェアパーソン(ZC)、などで構成される執行部のなかにある。

 337-A地区は北九州や筑豊、福岡市、県南など現在6つのリジョンから構成されるが、ガバナー候補はそれぞれのリジョンから推挙され、毎年4月に開催される年次大会で選出される。ライオンズクラブにおける年間活動のサイクルは、毎期7月1日から翌6月30日までの1年間である。そして地区ガバナーは6つのリジョンのローテーションで選出される。これは知名度が高い福岡都市部に偏らないための知恵である。なお22年6月までは5つのリジョンで構成されていた。

 近年、福岡都市部のリジョンから複数の候補者が立ち、激しい選挙戦となっている。二場氏に対するさまざまな批判がありながら、なぜ地区ガバナーにまで上り詰めていったか、次回は17年以降について述べることとしたい。

(つづく)

【近藤将勝】

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