全国組織・全管協を仕切る高橋誠一名誉会長とは(5)なぜ高橋氏は変わってしまったか

高橋氏もかつては業界の発展のために精力的に活動

 全国の賃貸住宅管理・仲介会社が加盟する、業界団体「全国賃貸管理ビジネス協会(全管協)」の名誉会長であり、国内外の20社以上を傘下に収める三光ソフランホールディングス(株)の代表取締役でもある高橋誠一氏(以下、高橋氏)。現在、当社NetIB-Newsにおいて、全管協における同氏の統治体制などに対して疑問を呈するかたちで、連載記事を掲載している。

 しかし、以前から高橋氏を知るAは、高橋氏が1999年に全管協の会長に就任した当初は記事で指摘されているような人物ではなかったと語る。Aによれば、かつての高橋氏は遠慮がちで、「日当さえ固辞するような人物だった」「東日本大震災を契機に被災者支援の主流となった、みなし仮設住宅(賃貸型応急住宅)の創設にも全管協の他の三役や理事などとともに尽力していた」という。

 また、全管協の会長として、業界の発展のために奔走していた姿もあったという。

 2010年5月25日に衆議院国土交通委員会に賃貸住宅居住安定法案(いわゆる取立て法案)が提出された。この法案について、高橋氏と他の三役は国交省と面談した際、「賃貸管理業者の業務に与える影響は少ない」という趣旨の説明を受けたものの、業界に対する影響の範囲を明確に確認することができないとして反対活動を継続。その結果、第174回国会では成立せず継続審議とされた。

 また、住宅家賃に課される消費税の取り扱いについても、全管協は反対の立場から対案の提案書を作成して国に提出。「賃貸物件に入居する方々の平均所得が低かったことから、家賃に対して税金をかけるのは容認できない」として、海外の事例を提示するとともに、合わせて100万名の署名を集め、消費税非課税を要請した。これらの動きにおいても高橋氏は全管協の会長として全体の利益のために奔走していた。

事業拡大のなかで変わる高橋氏の価値観

 では、なぜ高橋氏は変わってしまったのか。そのきっかけは判然としないものの、Aは可能性の1つとして、09年に行われた三光ソフランホールディングス(株)のMBO(経営陣による買収)を挙げる。「MBOが成功し経営の自由度が高まったことで、倫理的判断に影響が出た可能性がある」という。

 一例を挙げると、高橋氏は自らが経営する宮古島リゾートホテルの会員権を、全管協の支部や取引先などへ2億4,400万円で販売している。高橋氏は「法律的には問題ない」と語るが、全管協名誉会長として倫理的・ガバナンス的に問題があると指摘する声が聞かれる。なぜなら、他の会員も自分のリゾート会員権や不動産を全管協の支部や取引先に販売したいということになるからである。本件については、全管協全会員に対してアンケートを実施しており、回答があった190社のうち、高橋氏が支部などにリゾートホテルの会員権を販売したことに対して97.3%が「問題ある」と回答し、会員権を全管協の取引先などへ販売したことに対しては84.4%が「問題ある」と回答している。

 高橋氏はこのほかにも、別シリーズ『全管協名誉会長・高橋誠一氏と自民党政権幹部(当時)の深い関係』で報じているように、自社の「ごみ処理プラント」の販売などにも全管協の影響力を利用している。

 このような高橋氏の暴走についてAは、「昔は多くの三役や理事は高橋氏へ反対意見を呈していたが、高橋氏は現在80歳を超えており、他の三役・理事との年齢が大きく離れてしまっている。そのため意見を言いにくいのではないか」と語る。高橋氏は23年に会長を交代し、名誉会長となったが、それ以降も実権を握り続け、実質的に約27年にわたって全管協のトップに君臨している。高橋氏の長期政権による弊害が全管協のガバナンス不全として表れている。

 全管協をめぐる問題は、高橋氏による全管協の私物化ばかりでない。別シリーズ『全管協及び自民党ちんたい支部連合会が推進する党員募集に政治資金規正法違反の疑い浮上』で連載中の通り、自民党党員募集にともなう政治資金規正法違反の疑いも浮上している。全管協会員に対する全管協本部の圧力と自民党ちんたい支部連合会の不適切な説明によって、全管協から職域支部へ寄附された資金の一部が目的外に流用されてきたという話が取材で明らかになっており、これらについても当社では引き続き詳しく連載していく。

 高橋氏にはぜひ、かつて業界全体の発展のために尽くしていた頃を思い出していただき、今一度、全管協の健全化のために向き合うことを期待する。

(了)

【近藤将勝】

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