2024年04月26日( 金 )

「ポケモンGO」祭りが頭上を吹き抜けていった任天堂(前)

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 任天堂が復活か――。スマートフォン(スマホ)ゲーム「ポケモンGO」の世界的大ヒットを受け、任天堂の株価が急騰した。主力の家庭用ゲーム機がヒット作不足で、業績の低迷が続いていた任天堂には、久々の明るい材料だ。買いが殺到。だが、日本で配信されたその日に、「ポケモンGO」祭りは終わった。水をかけたのは、任天堂だった。

任天堂の株価が爆騰

 「ポケモンGO」はスマホの全地球測位システム(GPS)の位置情報を利用し、現実世界そのものを舞台に、ポケモンを捕まえたり、バトルしたりできるゲームだ。7月6日に配信開始以来1カ月で、世界のダウンロード数は10億人を突破。日本では全国各地でキャラクターを探す人が街に溢れ、ポケモン狂想曲は社会現象になった。

poke_go 任天堂(株)(君島達己社長)の株価はここ5年、1~2万円台と低迷していたが、ポケモンGOが米国で話題になっていることが伝わり、任天堂の株価は爆騰。連日の高値更新で、7月19日には一時、前週末比4,920円(17.7%)高の3万2,700円まで買われ、2010年5月以来の3万円台を回復した。東京株式市場は、「任天堂の株価は年内に5万円台、数年後には7万円台まで上昇する」と囃し立てた。

 7月22日、ポケモンGOの配信が日本でも始まった。この日も、日経平均株価が下がるなか、任天堂株価の終値は前日比220円高の2万8,220円まで上昇した。売買代金ランキングでトップを独走、7,260億円を記録した。

 だが、「ポケモンGO」祭りは、この日で終わった。水をかけたのは、任天堂だった。

「ポケモンGO」がヒットしても、任天堂は儲からない

 7月22日の東京株式市場が取引を終えた後、任天堂は「ポケモンGO」について、連結業績に与える業績は限定的と発表した。

 ポケモンGOは米ゲームベンチャーのナイアンティック社が、ゲーム企画会社の(株)ポケモン(東京・港、石原恒和社長)と共同開発した。ポケモン社は、ポケットモンスターの権利保有者として、ゲームの開発・配信を手がける米ナイアンティック社からライセンス料を受け取る。ポケモン社は、任天堂が議決権の32%を保有する持分法適用会社であるため、連結業績に与える影響を限定的とした。

 任天堂の発表を受けて、週明けの7月25日の任天堂株は売りが殺到。ストップ安(値幅制限)の2万3,220円まで急落した。7月22日の終値から5,000円(17.7%)もの値下がりだ。

 ポケモンGOで、さぞ儲かるだろうとみていた投資家が、儲からないとわかり、一斉に売りに走った。その後も株価は2万円台に張り付いたまま。急騰前の水準に戻った。

(つづく)
【森村 和男】

 
(後)

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