2024年04月27日( 土 )

福岡市4百貨店のうち3百貨店が増収~インバウンド消費が明暗を分ける(前)

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 2015年度の百貨店業界は、“インバウンド(訪日外国人)消費”という追い風が吹いた。この恩恵に浴したのは、主に東京や大阪の大手百貨店。地方百貨店にとっては、インバウンドによる底上げは薄かった。そのなかで、気を吐いたのは福岡市の百貨店。東京23区の次に伸びたのが、福岡市の百貨店だった。アジアからの訪日客が伸び率を押し上げた。

訪日外国人の定番コース、松屋銀座本店は18.1%増、三越銀座店は14.6%増

fukuoka3min 『日経MJ』がまとめた「2015年度の百貨店調査(店舗別売上高ランキング)」(8月17日付)によると、15 年度の百貨店の総売上高(調査対象は210店)は6兆3,289億円。2期が比較可能な既存店(同208店)の売上高は14年度比0.5%増となり、2年ぶりに前年度実績を上回った。インバウンド消費や富裕層をつかんだ都市部の店舗が好調だった。

 売上高トップは、三越伊勢丹・伊勢丹新宿本店の2,724億円(前年度比5.4%増)。09年度以来、7年連続の首位だ。2位は、阪急阪神百貨店・阪急うめだ本店の2,183億円(同10.4%増)。3位は、そごう・西武・西武池袋本店の1,900億円(同1.4%増)。

 訪日外国人の定番コースである華の銀座に店舗を構える松屋銀座本店は18.1%増、三越銀座店は14.6%増。両店舗と4期連続の増収だ。

インバウンド消費で九州の百貨店の順位が変動

 九州の百貨店の売上高ランキングは、順位の交代が相次いだ。1位は岩田屋本店の739億円(同5.7%増)と変わらず。前年3位の鶴屋百貨店が576億円(同3.9%増)と増収となり、2位に浮上。前年2位の博多大丸は567億円(同1.2%減)と減収になり、3位に後退した。
 前年8位の福岡三越は329億円(同4.0%増)と増収で7位。前年7位のトキハ本店は311億円(同5.2%減)と減収で8位に退いた。沖縄のリウボウが171億円(同12.7%増)と大幅な増収で、10位に入った。

 九州の百貨店は、インバウンド消費が明暗を分けた。中国、香港、台湾、韓国からの訪日客が大幅に増えた福岡市の百貨店の売上高の伸び率は、東京23区に次いで高かった。岩田屋本店(5.7%増)、福岡三越(4.0%増)、博多阪急(3.7%増)の3百貨店は増収だったが、訪日外国人観光客をライバル店に奪われた博多大丸(1.2%減)は前年を下回った。
 沖縄のリウボウは、インバウンド効果で2ケタの増収。伸び率12.7%は松屋銀座本店、三越銀座店に次ぎ全国3位だ。

(つづく)
【森村 和男】

 
(後)

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