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2017年09月06日 12:46

ホーキング博士の気になる未来予測 地球温暖化とキラー・ロボット(前) 未来トレンド分析シリーズ 

国際政治経済学者 浜田 和幸 氏

 この夏は、北朝鮮による日本列島越えのミサイル発射や地下核実験によって、身の毛がよだつ思いをした人も多かったに違いない。金正恩委員長が「グアムにもアメリカ本土にもミサイルを撃ち込める」と豪語すれば、トランプ大統領は「いつでも攻撃できる態勢が整っている」と応答。まさに「言葉のミサイル」が飛び交う異常事態となった。日本にとっても看過できない状況である。

  誰もが望まなくとも、戦争は起きる。過去の戦争の歴史を紐解けば、そうした結論に到達せざるを得ないだろう。翻って、第二次世界大戦後も今日に至るまで、戦争が勃発しなかった年は一年もない。しかし、核保有国となった北朝鮮が関わるとなると、これまでの地域紛争や人種、民族対立から派生した地域戦争とは大違い。場合によっては、人類や地球の最期になりかねない危険をはらんでいるからだ。

  そんな折、車椅子の物理学者として著名なホーキング博士が気になる未来予測を発表した。これまで、同博士は「人類の未来はあと1,000年で終焉を迎える」との見通しを語っていたものだ。ところが最近、この予測を全面的に見直した結果、「人類に残された時間は、せいぜい100年しかない」と軌道修正。

  なんと、900年も人類の未来をカットしてしまったのである。一体全体、どういうことなのか。ホーキング博士曰く「人類は急いで別の惑星に移住することを考え、実行しなければならない。地球は生物が生存するには余りにも危険が大きくなりすぎた」。このホーキング発言に最も素早く反応したのは中国である。自国の環境が悪化しているためもあろうが、火星への移住計画を打ち出した。宇宙開発で近年最も目覚ましい進歩を遂げているのは中国に他ならない。月の土地を大々的に販売しているのも中国だが、さらに「今世紀中に火星への移住を開始する」と宣言。果たして、火星移住計画は実現するのだろうか。

  これまで人類はさまざまな偉業を成し遂げ、科学の力で人間生活を便利で豊かなものに進化させてきた。このことに異論をはさむ人はいないだろう。確かに、われわれは空を飛ぶようになった。もちろん飛行機のお陰だが。また、多くの機械を発明、製造してきた。病気も克服する医療の進歩も目覚ましい限りだ。コンピュータもインターネットも飛躍的な進歩を遂げ、ビジネスも生活も格段に飛躍することになった。

  その一方で、破壊や対立も巻き起こった。2度の世界大戦は言うまでもなく、個人レベルでも地域間でも、些細ないざこざから流血騒動、そこに人種や宗教が絡まり、紛争やテロが絶えない有様だ。

  こうした状況に加えて、人類が自ら首を絞めるような行為を重ねた結果、ついに「地球温暖化」という脅威が出現した。アメリカのトランプ大統領は「地球温暖化はフェイクニュースだ。そんなものは存在しない」と啖呵を切ったが、テキサス州を襲った前代未聞の大洪水は紛れもなく、温暖化のなせる業であろう。

  「知の巨人」と異名を取るホーキング博士が、この期におよんで人類の未来を900年も短く予測せざるを得なくなったのは、偶然ではないだろう。実は、同博士は昨年2016年の11月の時点では「人類には他の惑星への移住を完了するまで1,000年の時間的余裕がある」と述べていた。ところが、それから1年も経たずして、「残された時間は、あと100年」と大幅な修正を下したのである。ということは、昨年末から半年ほどの間に起った事態に原因があるということだ。その意味では、北朝鮮の核実験やミサイル発射実験はホーキング博士の未来予測を大きく変えさせたに違いない。トランプ大統領と金正恩委員長との「言葉のミサイル」が本物の核弾頭の打ち合いになる可能性が高い、ということであろう。

 あるいは、北朝鮮の核保有をアメリカが認めることになった場合、韓国や台湾、そして日本も核保有の道を歩むことになる可能性がある。「核兵器の拡散」がドミノ的に広がり、何らかの人為的判断ミスや操作ミスによって、地球全体が核爆発に飲み込まれる恐れも大きくなったということであろうか。

  と同時に、ホーキング博士の懸念は人工知能(AI)にも及んでいる。「シンギュラリティ(技術的特異点)」と呼ばれているが、AIが人間を凌駕する時代が間もなく到来する可能性が高い。この分野の第一人者と目されるイーロン・マスク博士によれば、「2040年には人類はAIに価値判断を委ねるようになる」という。欲望の虜になりがちな人間に任せていては、地球環境は悪化するばかりで、紛争や戦争も絶えない。人類全体の幸福や地球全体の生存を考えた時、AIの出番となる、というわけだ。

  しかし、ホーキング博士の見方は懐疑的である。AIが自ら価値判断を下すようになれば、生身の人間では生存できない劣悪な環境下でもロボットとしてAIは生き残れるので、いずれ生んでくれた人類に見切りをつけ、AIの社会や国家を目指すようになる。そうなれば、人間に勝ち目はないだろう。そうしたAIの天下が現実のものとなる前に、人類は安全に暮らせるより良い環境を求めて他の惑星に移住する道を進むべきだ、というのが同博士の主張である。

(つづく)

<プロフィール>
hamada_prf浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。
今年7月にネット出版した原田翔太氏との共著『未来予見〜「未来が見える人」は何をやっているのか?21世紀版知的未来学入門~』(ユナイテッドリンクスジャパン)がアマゾンでベストセラーに。

 
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