2024年04月23日( 火 )

アジアの拠点都市へ、発展を支える地場老舗ゼネコン(後)

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(株) 松本組

機能性・デザイン性に富む建築物

 建築部門では、マンションや商業施設、学校など、さまざまな用途の建築物を手がけてきた。その同社が踏み出した新しいステージの象徴ともいえる建物が、福岡市中央区天神の「水上公園」に完成した「SHIP’S GARDEN」(建築主:西日本鉄道(株))だ。

 「水上公園」は、九州最大級の商業エリアである天神エリアで進行中の再開発計画(通称「天神ビッグバン」)において、東のゲートとして位置づけられている。「SHIP’S GARDEN」は「世界へ漕ぎ出す、水上の船」をコンセプトに設計された。

 建物はデザイン性に富んでおり、2辺が2つの川と、残り1辺が通りに面している三角形の敷地形状を生かした鉄骨造2階建。外壁はカーテンウォールサッシで開放感があり、屋上は階段状のウッドデッキ張りで憩いの空間を創出。建物上部にはシンボリックな帆が設置されており、海風をはらむ帆船を彷彿とさせる外観となっている。

 屋根上部分のウッドデッキスペースには、ヨガなどのアクティビティに対応できる広場のほか、階段状のベンチを配置。足元の公園スペースと一体となった開放的空間が創出されている。建物1階には、西日本初出店のカフェダイニング「bills福岡」、2階にはミシュランガイドに掲載された中華料理店「星期菜NOODLE&CHINOIS」が出店。夜にはライトアップされ、昼夜を問わず、福岡市民の憩いの場としてにぎわいを見せている。

 同社は、この天神東エリアのランドマーク「SHIP’S GARDEN」を手がけるほか、近年では、話題となった大濠公園内や太宰府天満宮参道のスターバックスコーヒーの店舗を施工。さらに18年秋に開業予定の福岡市内最大規模の商業施設「マークイズ(MARK IS)福岡ももち」(建築主:三菱地所(株))の施工にも地元企業としてJVで参加している。これまで培った経験と技術を生かし、九州の拠点都市からアジアの拠点都市へと飛躍を図る福岡市にとって必要不可欠な、先進的社会資本のニーズに応えている。

積極的なCSR活動と女性目線の職場環境改善

 社会の公器である企業として、社員1人ひとりが社会人として広く社会に貢献する姿勢も大切にしている。公園や河川の清掃、次世代の子どもたちの工事現場見学への協力などCSR活動にも力を入れる。また、2000年から計画を立てて現場への女性進出を進めており、女性目線での現場の改善や産休・育休をとりやすいような環境整備を行っている。「女性社員が結婚して子どもを授かり、家庭環境が変わったとしても、職場復帰をできるような環境をつくることがお互いのチャンスになると考えています」と語る松本社長。

 業界全体が人手不足を大きな課題とするなか、技術のみならず、企業経営面でも業界の先駆者として同社の発展が期待される。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:松本 優三
所在地:福岡市東区馬出1-1-19
設 立:1966年5月
資本金:1億円
TEL:092-651-1031
URL:http://www.matsumotogumi.net

<プロフィール>
松本 優三(まつもと・ゆうぞう)
 1957年、福岡市生まれ。明治大学商学部卒業後、81年に(株)松本組へ入社。常務取締役、代表取締役副社長を経て、94年7月、代表取締役社長に就任。

 
(前)

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