2024年04月20日( 土 )

スルガ銀行の不正融資を検証する(番外編3)

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~経営者の責任を指摘~
◆スルガ銀行の不正融資について、第三者委員会は、多くの行員が関与していたことを認定したうえで、「大切な現場の情報がまったく経営陣に届かない、情報の断絶が起きていたと指摘。
 不正が広がった原因については、融資に疑問を示した審査の担当者に営業を担当していた麻生治雄元専務執行役員が威圧的に反論して融資を実行させるなど、審査体制に問題があったことや営業現場の実態を考慮しない、厳しい営業ノルマがあったことなどを挙げている。

~新経営陣について~
【表2】を見ていただきたい。

<この表から見えるもの>
◆不正融資の責任を取り岡野会長を含め5人の役員が辞任したため、スルガ銀行の役員数は
常勤2名、非常勤役員4名、計6名となっている。常勤取締役が2名となったことから有國三知男社長と同様に、八木健取締役も代表権をもつことになる。
◆第三者委員会は新しく社長(兼頭取)となった有國三知男氏に対して、明らかな善管注意義務違反があったとまでは断定でないまでも、一定の経営責任は免れないとしている。また八木取締役に対しても、2012年6月以降取締役であり、審査部門の管掌もしていたことから、一定の経営責任はあるとしている。
◆土屋隆司および灰原俊幸社内監査役(常勤)の2名については、重大な不正問題が発生しているにもかかわらず、監査役会において適切な報告をせず、また社外監査役へも報告しなかったとして、善管注意義務違反が認められると明言している。
◆社外取締役および社外監査役については、個別の不正、またはシェアハウスローンに係るリスクを知り得た証拠はなく、これを放置したといった事情も見当たらず、法的責任は認められないとしている。いずれにせよ、綱渡りの経営が続くことになるが、来年6月に開催される株主総会を無事に乗り越えるには、あまりにも大きなハードルが待ち構えているようだ。

<まとめ>
 今回の問題の一番の責任は無責任な営業推進体制をつくった経営陣にある。スルガ銀行は「地銀の優等生」から、不正融資をする「消費者ローン銀行」へ転落した。
 金融庁は、今年4月からスルガ銀行に立ち入り検査をしており、今月7日公表された調査結果も踏まえ、近く、業務の一部停止命令を含む厳しい行政処分を行う方針を示している。はたしてスルガ銀行に再生するチャンスはめぐってくるのだろうか。

(了)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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(番外編2)

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