2024年04月26日( 金 )

職員募集周知されず 不透明な人事採用(2)~「周知せず」町認める

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福岡県宇美町

 「不透明な職員人事採用が行われているのではないか」――そう指摘されたのは9月に行われた福岡県宇美町議会。ある町議の一般質問には、多数の傍聴者が駆けつけ答弁を見守った。問題視された職員募集について、町は明確な答弁ができずじまい。その後の取材で、職員募集は一部の関係者にしか知らされていないことがわかった。事情を説明するとして、11月に開催された全員協議会では町民や報道関係者の傍聴を認めなかった。開かれた議会はどこにあるのか。

関係者以外立ち入り禁止

人間の盾

 議会を乗り切った町長らを待ち受けていたのは、情報の拡散だった。議会を傍聴し、この問題を重くみた、ある町民が宇美町48自治会の自治会長48名に対し、議会で指摘された「不透明な人事採用」とする旨の文書を送付した。文書を受け取った自治会長らが町に問い合わせる事態となり、町は自治会長を対象とする緊急説明会の開催に踏み切った。

 開催されたのは10月22日。町長、副町長、総務課長以下すべての課長が出席するという異例の説明会が開催された。会場に入ることを許されたのは、自治会長のみで、町議や報道関係者は許されなかった。議会で問題を指摘した時任氏は質問した立場上、回答を求めたいとして入場を試みたが、出入り口を塞いでいたのは町の女性職員。まさに「人間の盾」をつくってまでして、頑なにそれを拒んだ。

「地域全体へ周知していない」町認める

9月議会

 町の異常とも思える対応を知ったうえで、人事を担当する町総務課に取材を申し入れた。争点は「当該職員募集がどれだけ周知されていたのか」という点であった。電話取材に加え、文書での問い合わせをしたのが、10月24日。それほど複雑な質問でもないのだが、なかなか回答がない。10月30日、催促の電話の後、ようやく回答があった。しかし、肝心の“周知の程度”に関しての回答がなかったため、再度以下のように問い合わせた。

【再送した質問】
 「町はこの職員募集の告知をどのように行ったのか。手段や方法について、詳細に説明していただきたい。『明治町区居住者を優先的に採用する』という過去の確認書もあることから、区居住者全世帯に周知されるべきであるが、実際はどうだったのか。」

 即日、総務課から返ってきた回答はこうだ。

 「ご質問の部分について、明確な回答になっておりませんでした。申し訳ありません。平成27年12月24日付の当該臨時職員人材確保の依頼につきましては、前回の回答に記しております通り、(明治町区環境)監視委員会委員長ほか1名には当該推薦については募集方法を指定して依頼しておらず、地域全体への周知はされておりません。また、町としても周知は行っておりません。」(※下線は編集部)

 町はようやく職員募集の周知が限定的だったことを認めた。議会で追及した時任氏が予想していた結果だった。つまり、町は明治町区関係者2名に対し、募集案内を通知し、推薦を求めてはいるものの、広く周知されていなかった。

(つづく)
【東城 洋平】

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