2024年04月30日( 火 )

職員募集周知されず 不透明な人事採用(3)~「違法ではない」町は責任認めず

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福岡県宇美町

 「不透明な職員人事採用が行われているのではないか」――そう指摘されたのは9月に行われた福岡県宇美町議会。ある町議の一般質問には、多数の傍聴者が駆けつけ答弁を見守った。問題視された職員募集について、町は明確な答弁ができずじまい。その後の取材で、職員募集は一部の関係者にしか知らされていないことがわかった。事情を説明するとして、11月に開催された全員協議会では町民や報道関係者の傍聴を認めなかった。開かれた議会はどこにあるのか。

9月議会

 本来、職員採用に関しては、町民の誰もが知り得るかたちで発信される情報であるべきだ。町のホームページ、町政だより、回覧板などあらゆる手段が考えられるが、それらを利用せずに、たった2名の区関係者のみに知らされていた。推薦された候補者が2名いたというものの、実際に採用されたのが、その区関係者、白水町議の子息であるという事実が疑惑を呼んでいることはいうまでもない。臨時職員として1年経過した後、正職員として任用されており、「出来レース」と取られても仕方のない結末だった。

「宇美町の職員になるために、一生懸命努力している方がいる。厳しい競争のなかから、選ばれている。」――時任氏の議会での発言が虚しく思えてきた。

 町議から厳しい指摘を受けた町は、11月5日、町議が参加する全員協議会を開催。人事採用に関する経緯を説明することになっていた。議長の承諾があれば、傍聴できることになっているが、今回も町民や報道関係者はシャットアウト。後に、参加した町議に感想を求めたが、「町は周知していなかったことは認めたが、責任は認めていない。のらりくらりと納得のいかない時間だった」というコメントにとどまった。ここまできて、何を隠そうとしているのか。そして、開かれた議会はどこにあるのか。

 職員募集が周知徹底されていなかったことを町は認めたが、この事態について町はどう認識しているのか尋ねた。返ってきたのは「町としては、地方公務員法に基づいた臨時職員の任用を行っており、違法性はないものと判断しております」という答えだった。

 「違法ではない」――町はそう回答したが、町議が指摘したのは、「違法性」という観点ではない。一町民の目線で考えて、この採用が適切だったかどうかだ。町民のたった数人にしか職員募集が知らされていなかったこと。これを「おかしい」と感じないのだろうか。今回の件を反省しないようでは今後、不平等な人事採用が続くことになりはしないか。

 小さな町の小さな出来事にも行政の姿勢が映し出される。

(了)
【東城 洋平】

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