2024年04月19日( 金 )

これまでの渋谷、これからの渋谷。 「100年に一度の再開発」を期に「世界のSHIBUYA」へ(前)

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東京急行電鉄(株)
都市創造本部渋谷戦略事業部 副事業部長
太田 雅文 氏

 以前より「若者の街」として知られ、若者文化や情報の発信基地としての地位を今なお確立している「渋谷」。しかし近年、渋谷には最先端のITやスタートアップ企業が集積し、さまざまなイノベーションの街へと変容しつつある。Google(同)の本社機能が六本木から再度渋谷に戻り、「渋谷ストリーム」に入居。「渋谷スクランブルスクエア」東棟には、サイバーエージェントの広告事業を中心とした部門およびグループ会社、mixi本社がそれぞれ入居することを明らかにしている。渋谷は「100年に一度の再開発」を期に、グローバル都市へと生まれ変わろうとしている。今回、東京急行電鉄(株)(東急電鉄)都市創造本部渋谷戦略事業部の太田雅文副事業部長に、「これまでの渋谷とこれからの渋谷」について話を聞いた。

渋谷100年に一度の大改造のキッカケとは?

 ――まず、渋谷の沿革からお願いします。

かつての東横百貨店(提供:東急電鉄)

 太田 1885年の日本鉄道品川線(現・山手線)の開通にともない、渋谷駅は誕生しました。東急グループと渋谷の関係は、23年後の1907年に玉川電気鉄道玉川線が開業し、渋谷と道玄坂をつないだことから始まりました。20年には、渋谷駅の駅舎が移転し、電車やバスの乗り入れを開始。乗降客が増加するなかで、東日本初の本格的なターミナルデパートとして東横百貨店(後の東急百貨店東横店)がオープンしました。

 東横百貨店をオープンした理由は、沿線住民が休日に渋谷で買い物できるようにするためです。50年代に入ると、後の東急百貨店東横店西館となる東急会館、4つの映画館、日本最大級のプラネタリウムを含む総合文化施設・東急文化会館などが開業し、渋谷は戦後復興とともに急速に賑わいました。東横百貨店屋上には数年だけロープウェーも置かれ、60年代になるとNHK放送センターが内幸町から渋谷に移転し、渋谷は買い物するだけではなく東京の文化拠点として発展しました。この時期から、パルコや西武百貨店も出店し、渋谷は「若者の街」と呼ばれるようになりました。

 90年代には、渋谷発のポップミュージックが「渋谷系」と呼ばれたり、センター街エリアを中心に「コギャル」など独自の若者文化が形成されました。98年の小渕内閣時には、経済が不振であったことから緊急経済対策を講じることとなりましたが、そのインフラ整備の一環として、東京メトロ有楽町線の新線池袋駅を渋谷まで延伸する副都心線構想が運輸政策審議会で答申されました。また、答申はされていませんでしたが、東京メトロ副都心線と東急東横線の相互乗り入れ構想を実現することになりました。

 さらに2005年に、渋谷駅を中心に半径600~700mを範囲とする約139haというエリアが都市再生緊急整備地域に指定されました。

 「渋谷駅周辺再開発」は、副都心線と東横線相互乗り入れ構想とリンクしていますので、今から約20年前に着手しました。渋谷大改造の第1号は、12年の「渋谷ヒカリエ」開業です。「渋谷ヒカリエ」の前身は、明治通りに面していた東急文化会館で、東急文化会館解体後は、副都心線地下鉄の工事ヤードとして使われていました。その後、08年6月に副都心線が開業、「渋谷ヒカリエ」完成後の13年に副都心線と東横線の相互乗り入れが実現しました。そして17年の「渋谷キャスト」、18年9月13日に開業した「渋谷ストリーム」「渋谷ブリッジ」、渋谷駅の直上に位置する「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」の工事に着手して、現在に至ります。

 ざっとお話ししてきましたが、これが渋谷の歴史です。2020年には東京五輪が開催されますが、タイミング的にも渋谷は大きく変わっていきます。

「渋谷スクランブルスクエア」mixi本社などが入居

 ――「100年に一度の渋谷大改造」と東京五輪とが重なり、良いタイミングでしたね。

 太田 実は、東京五輪は1回落選していますよね。再チャレンジしたときに、五輪が東京に来ることになったので、ちょうど良いタイミングでした。
 東京全体で再開発が盛んに動いていますが、工程を詰めれば2020年に間に合うとのことで、公共施設も民間工事も含めて2020年を1つのゴールとして工事を実施しているところもあります。五輪は、再開発などの工事を進展させる効果があるのです。もし、東京に五輪が来なければ、これだけの再開発が同時多発的に進展しなかった可能性があります。何とか東京五輪に間に合わせようということで、発注者も受注者も多くのリソースを割いています。

(つづく)

【長井 雄一朗】

(後)

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