2024年04月25日( 木 )

中国人投資家のインバウンド戦略に期待 中華メディア、仲介会社など相次いで提携(後)

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(株) LIFULL
(株)ライフル ライフルホームズ事業本部 売買事業部
不動産投資ユニット長 岡崎 健治 氏

ライフルのライフルホームズ事業本部 売買事業部 不動産投資ユニット長の岡崎健治氏

中国・深圳で投資セミナー開催

 ――中国での投資家向けのイベントは、どのような状況ですか。

 岡崎 直近では、日本新華僑通信社との初の共催で、4月19日・20日の両日に中国の香港の隣接都市・深圳で行いました。日本新華僑通信社から、「高額帯のお客さんをターゲットにしたほうが良い」という助言もありました。ビル1棟、2棟の不動産への購入意欲をもち、価格帯でいえば、1億円以上~2億円以上です。今回、手ごたえはかなりありました。昨年も2回、北京でセミナーを開催しましたが、同様に熱気があり、中国からのインバウンドのニーズが高いことを感じております。

 ――クライアントの反応は。

 岡崎 まだ不動産領域のなかには、「海外の方に売る必要がないよね」とか「買われた後、我々がどうやって管理すればいいのか」という反応が多くあります。ライフルの国際投資グループが不動産販路を中国などにも広げているということへの理解はこれからですので、1軒1軒、地道にクライアントさまを訪問している状況にあります。まずできることを、無理せずやっていこうと思います。

 ――想定として、どのくらいのお金が動きますか。

 岡崎 実は、中国の不動産購入の課題として、1回500万円という送金規制があります。そこで購入を断念された不動産投資家が何人もいます。ただ、深圳であれば、香港にも口座をお持ちの不動産投資家もいるでしょう。香港は中国のような送金規制がないので期待しています。よく不動産関係者から、「送金方法はどうするのか」と心配されている方もいますが、深圳に限っていえば、その懸念はほかの都市よりも少ないのではないでしょうか。

 ――深圳の経済力は、どのような規模でしょうか。

 岡崎 17年の1人あたりの名目GDPは、香港が16位で年間4万6,080ドルです。日本は25位で年間3万8,448ドルです。現在、イノベーション都市として深圳が注目されていますが、GDPは2兆2,400億元で、香港ドルベースで計算すると2兆6,800億香港ドルとなり、香港の2兆6,600億香港ドルを抜いたことがニュースになりました。ただし、深圳の実際の人口は香港の2倍以上ですので、経済発展の指標となる1人あたりのGDPでは、深圳は香港の半分以下に過ぎません。しかし、それだけ深圳に新富裕層が続々と誕生していることに、注目が集まっているのです。

 ――Homelinkや台湾房屋との提携後については、いかがですか。

 岡崎 実は、ライフル単体としてのインバウンド投資の呼びかけは、香港とシンガポールが多かったのです。今回の日本新華僑通信社に加えて、従来のHomelink、台湾房屋と提携することで、中国や台湾にも本格参入が可能になりました。また、現地での不動産投資イベントもスムーズに進んでいます。ただ、シンガポールに関しては、地元のライセンスがないと不動産の紹介ができないため、最近は現地でのイベントができていません。そのため、中国や台湾への参入を狙った経緯があります。今回、深圳でイベントを開催しましたが、ほかの大都市でも実施していきたいと思っています。イベントの場所や開催時期などの詳細については、これから中国人のメンバーと相談して検討していきます。

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 中華圏の人と話をすると、個人的な見解ですが、投資に対する考え方も異なり、熱も強いという印象があります。今、PDCAの手法で計画し、実行改善を繰り返し、より良いインバウンド不動産投資の在り方を行っています。

中国の大手デベロッパーと提携もあり得る

 ――中国大手デベロッパーなどとの提携は、あり得ますか。

 岡崎 それもやってみたいですね。最近の価格帯は6,000万円~2億円です。中国人不動産投資家は個人であり、日本不動産会社は法人です。今後は日中両国の法人同士がスムーズにビジネスできる環境になれば、中国マネーが日本の不動産に対して、さらに流れ込んで来ることになります。今後10億円が動くビジネスに変化していくことを想定しており、ライフル国際投資グループが、日中間の法人をマッチングするハブになれれば、日本の不動産業者さまに対して、より喜んでいただけると思っております。

 ――中華圏以外での動きは。

 岡崎 今、シンガポールやベトナムで動いています。提携先で折衝しているのは大手メディア、商社と組みたいと希望しています。ネタを刻一刻と仕込んでいます。

 ――最後に、福岡へのコメントをお願いします。

 岡崎 私は、個人的に福岡へ投資しています。訪日外国人のインバウンド投資の絶好の地域でもあり、都市計画の変更からも、福岡は大きく変容していくと予想しています。私個人としても、海外の投資家も注目している地域ではないかと考えています。

(了)
【長井 雄一朗】

(前)

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