2022年06月27日( 月 )
by データ・マックス

M&A戦略でグループ躍進の礎を築く(後)

西部ガス(株)(元代表取締役会長) 取締役相談役 田中 優次 氏

リスクを負うことを避けていては生き残れない

 ――子会社をもつことに消極的だった社風のなかで、ガスの供給と連動させていく戦略を立て、グループ化を推し進めてきた気骨はどこから生まれたのですか。
 田中 私の実家は、旅館を経営していました。父とは、旅館の経営などについて話すこともありましたから、中小零細の商売に関しては、少しはわかっていたと思います。

 ――電気とガスの垣根がなくなり、自由化による競争が激しさを増していますが、新電力などの参入でエネルギー業界の競争はさらに過熱しそうですね。
 田中 競争もある程度は進めていかなければならないでしょうが、そうは言いながら、関東、関西とは市場環境が違う部分もあります。自由化への対応としてシステム変更などにもかなりの投資が必要になりますが、お客さまに喜んでいただくために、九州に合った進め方などの工夫も考えるべきでしょうね。過度の競争によって業界が疲弊してしまっては、エネルギー供給元として必要な投資が難しくなりますから。

 ――ユーザーにとっては一見、安いほうが嬉しいかもしれませんが、将来にわたってエネルギーを安定的に供給してもらえるかどうかまで考える必要があると思います。
 田中 やはり、海外との比較でみないといけない部分もあると思います。たとえば、ヨーロッパは、アフリカ大陸から地中海の底に太いパイプラインを通してガスを引いている。ヨーロッパ中に太いガス管が縦横無尽に走っています。また、ロシアからもパイプラインを引いてガスを買っています。ライフラインですから、ロシアだけに頼らず、リスクヘッジの必要性を認識し、パイプラインを守るため、パイプラインの会社を別に設けています。

 ――4月から相談役に就任されました。積極的な攻めの経営でグループ化を推し進め、「中興の祖」といわれていらっしゃいますが、相談役として第一線を退かれても、その社風は残りますか。
 田中 私自身が「イケイケどんどん」タイプなので、次の代は、どちらかというと冷静沈着な酒見が継ぎました。そして、今回社長に就任した道永が、私に近いタイプではないかと思います。

 この時代に我が社は、契約100万世帯のストックがありますが、それだけで食べていける時代ではありません。ですから、常に何か新しいことに挑戦し続けていく必要があります。挑戦してダメならダメでそれは仕方がないというような考え方も必要だと思います。リスクを負うことを避けていたら、生き残れない時代ですから。このことは、今の弊社の役員全員が認識していますので、新しい事業も積極的に進めていくのではないかと考えています。

 ――今後は、相談役としてどういう役割を担うお考えですか。
 田中 社会貢献としては、日本赤十字社の支援団体である福岡県日赤紺綬会(こんじゅかい)の会長としての活動です。これは、もう少し頑張りたいと思っています。赤十字社も資金がないと活動できませんので、資金集めのために寄付のお願いをしなければなりません。

 財界活動については、私はあまり出しゃばりたくないと考えています。ただ、会社には非常に思い入れがありますので、相談役になっても、相談される相談役になりたいと思っています。

(了)
【宇野 秀史】

<COMPANY INFORMATON>
西部ガス(株)
代 表:酒見 俊夫(代表取締役会長)
      道永 幸典(代表取締役社長)
所在地:福岡市博多区千代1-17-1
設 立:1930年12月
資本金:206億2,979万円
売上高:(18/3連結)1,966億2,100万円
U R L:http://www.saibugas.co.jp

<プロフィール>
田中 優次(たなか・ゆうじ)

1948年2月生まれ、青山学院大学経営学部卒業。72年4月西部ガス(株)入社、98年7月総務広報部広報室長就任。2000年6月同役職で理事就任、02年6月取締役、05年6月常務歴任。07年6月専務取締役、08年代表取締役社長、13年4月には代表取締役会長歴任。19年4月取締役相談役に就任、6月には取締役を退任して相談役に就任予定。

 

(中)

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