2024年04月25日( 木 )

大手町、丸の内、有楽町に並べるか「グローバル ゲートウェイ 品川」(後)

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 東京・品川の一連の再開発事業がいよいよ本格始動し、日本のグローバルゲートウェイとして生まれ変わる。羽田空港国際化のさらなる進展、品川・名古屋間が開通するリニア中央新幹線も2027年開業を目指すなか、JR品川・田町駅間には40年ぶりに新駅が開設される。東京都は、14年に策定した「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2014」のなかで、大手町、丸の内、有楽町に並ぶ拠点とする構想を打ち立て、「これからの日本の成長を牽引する拠点」として期待している。世界と東京を結ぶハブ立地、世界へのゲートウェイ、日本のターミナルとして新たな役割を担う品川は今後、大改造を迎えるなか、どのように変貌していくかをレポートする。

京急の大規模複合施設SHINAGAWA GOOS

日本の新たな玄関口にふさわしい活気あふれる駅前空間イメージ 
(提供:国土交通省関東地方整備局)

 併せて京急は、高輪口地区再開発を本格検討している。オフィス、商業、ホテル、住宅などの複合施設で、品川のシンボルとなる駅前広場の設置、国際会議や国際ビジネスイベントが開催できるMICE機能の充実などを目指した一体的な開発となる大規模複合施設として「SHINAGAWA GOOS(シナガワ・グース)」の建替え計画を立案している。

 敷地面積約2万5,000m2、延床面積約8万4,000m2、容積率約330%。「駅ビルやシナガワ・グースについては、都市計画決定などに向けて、我々や東京都などが周辺住民などに説明会などを実施している段階ですので、現状、具体的なスケジュールなどは決定していません」(京急)というが、高度利用を促進した大規模な開発となる予定だ。

 東京都が14年に策定した「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2014」では、海外都市や国内地方都市へのアクセス性が高く、職住が近接している品川を、大手町・丸の内・有楽町に並ぶ拠点として格上げするとしている。

 JR東日本、UR、京急の3者は、「グローバル ゲートウェイ 品川」として、従来の発想に捉われない国際的に魅力のある企業と人材が集い、多様な交流から新たなビジネス・文化が生まれるまちづくりに取り組み、東京圏国家戦略特区の特例対象として認定を受けている。18年度から品川駅周辺を中心とした大規模工事が本格検討され、実施に移すことになる。

世界有数の拠点へ品川の魅力と課題

 再開発や国家戦略特区認定による容積率緩和などから、品川駅周辺のフロアは大きく増加する。大手町・丸の内・有楽町に並ぶ拠点となるためには、企業や商業施設、宿泊施設が「品川」に拠点を置く魅力をもつことが欠かせない。

 品川は、ここ数十年で急速に開発されてきた日本経済の中心地の1つ。陸路、空路ともに東京の玄関だが、地下鉄の乗り入れがなく、東京・新宿・渋谷・池袋のような主要拠点駅と比較すると都内各所へのアクセスは弱い。田町駅と羽田空港をつなぐ貨物線も新たに旅客用に開通する予定であり、港南エリアもさらにアクセスは良くなるものの、田町駅も私鉄の乗り入れは浅草線、三田線と少ない。この課題を解決するために、東京メトロ南北線を品川駅まで延伸する計画があるが、開通時期は未定だ。

 再開発により、エリア単体では洗練されることが見込まれるが、今後、国際交流の拠点となっていくには、都内他エリアとのアクセスと宿泊施設供給の整備が課題となる。品川駅前エリアだけで完結させるのではなく、東京の玄関から東京へ訪れた人が他エリアにも行けるような広がりをもたせることができると、さらに魅力ある街へと変わっていく。周辺には泉岳寺、高輪、白金など高級住宅街があり治安も良く、ポテンシャルを備えたエリアだ。周辺エリアを含んだ一体開発により、国内にとどまらず海外も含めた都市間競争に勝ち残れる街となることが期待される。

(了)

(中)

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