2024年04月23日( 火 )

中国・韓国と友好関係築けない安倍内閣の幼児性

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は真実を徹底的に掘り下げて、主権者国民の審判を仰ぐのが国政選挙の正しいあり方だと訴えた7月10日付の記事を紹介する。

 2015年12月28日のいわゆる「日韓合意」は、日本の岸田文雄外務大臣と韓国の尹炳世外交部長官による従軍慰安婦問題についての合意である。しかし、合意内容を明記した公式な文書は存在しない。日韓の両外務大臣が共同記者会見を開き、それぞれが合意内容を発表しただけである。この合意のなかに、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」との表現が盛り込まれたが、従軍慰安婦少女像の撤去を韓国が確約したという事実は存在しない。

 日韓外相合意で、韓国外相が、「韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、空間の安寧、威厳の維持といった観点から懸念しているという点を認知し、韓国政府としても可能な対応方法に対し、関連団体との協議等を通じて適切に解決されるよう努力する」と発表しただけで、慰安婦少女像の撤去を確約してはいない。

 韓国政府は日韓外相合意で慰安婦少女像の撤去を確約していないから、慰安婦少女像が撤去されないことをもって、「最終的かつ不可逆的に解決」という合意内容を韓国政府が覆したことにはならない。また、徴用工問題について、韓国の最高裁が日本企業に賠償を命じる判決を示していることについて日本政府が抗議しているが、日本の主張が合理性を有しているとは言えない。

 日本政府は日韓請求権協定を根拠に韓国の対応を批判しているが、日韓請求権協定を踏まえると、韓国の対応を一方的に批判することは適正でない。

 日韓請求権協定は1965年の日韓国交正常化に伴い、両国間で締結されたもので、両国とそれぞれの国民間で「請求権」の問題を「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記している。日本政府はこの協定を踏まえて元徴用工への補償問題は解決済みとの立場を示している。

 ただし、この協定によって個人の請求権までが消滅したとは言えない。請求権を互いに放棄する条項は1951年のサンフランシスコ講和条約にも存在する。この条項に関して、原爆被害者が「条約により米国に賠償請求できなくなった」として日本政府に補償を求めた提訴において、日本政府は「自国民の損害について、相手国の責任を追及する『外交保護権』を放棄したもの。個人が直接賠償を求める権利に影響はなく、国に補償の義務はない」と主張していた。

 実際に1990年代に韓国人の戦争被害者が日本で提訴し始めた際、日本政府は、「個人請求権は消滅していない」との国会答弁を続けていた。

 韓国での徴用工による訴訟は韓国の個人の請求権に基づくものであり、この請求権を日本政府が否定することは難しい。また元徴用工の主張を認めたのは韓国の裁判所であり、三権分立の大原則を踏まえると、行政当局同士の合意が存在しても、韓国の司法当局の判断を拘束することはできないと考えられる。

※続きは7月10日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「安倍政治の真実を公正に検証してみた」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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