区画整理事業による新たな賑わい「伊都の杜」(後)
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開発を誘引
伊都の杜と糸島高校前駅とが相乗効果を発揮することで、「糸島への移住」に対する抵抗感が和らいだ。また、18年9月の九州大学伊都キャンパスの完全移転・統合の完了により、糸島市内居住を選択肢に入れる大学関係者からの住宅需要もある。福岡市中心部から糸島市への移動時間は、自動車でも電車でも約30~40分。決して通えない距離ではないものの、この移動が毎日続くとなると、いっそのこと糸島市内に住んでしまうという選択肢も十分に考えられるだろう。
そうした状況のなか、糸島高校前駅周辺ではマンション開発が活発化。なかには同駅隣接のものまであり、早くも話題となっている。
住まいの供給が先行して進んでいるが、その一方で今後は、消化器内科などクリニックの開院も予定されている。伊都の杜近接の糸島市健康福祉センター「あごら」と合わせて医療関係施設の充実が進めば、現役を退いた世代の“終の棲家”としての需要もこれから出てくるだろう。
さらなる発展に向けて
人口推移や現在の開発状況からも、前原東土地区画整理事業は糸島のまちづくりに大きな役割をはたしたといえる。ただし、それは同事業単体の成果ではなく、JR「糸島高校前駅」の開業と掛け合わせることで得られたものだ。
今後は、伊都の杜および周辺エリアを、“住まう場所”として終わらせるのではなく、“新たな商圏”として育んでいくことが大切だ。民間企業に商機を感じさせる話題ならある。
糸島市は九州大学と提携して「九州大学サイエンスパーク構想」を進めている。これは、米国シリコンバレーにある「スタンフォード大学リサーチパーク」や、英国の「ケンブリッジ大学サイエンスパーク」などに見られるような、大学の周りに最先端の技術研究を行う研究機関や企業を集積させることで、大学の研究を加速させるとともに、地域や社会に新たな雇用やビジネスを生み出そうというもの。
この構想は糸島市だけでなく、福岡市西区をも巻き込んだ大規模なまちづくり計画となっており、将来を見据えて先行投資する動機付けになるだろう。実際に、(株)カクイチ(本社:長野市)など、伊都の杜に拠点を構える企業も出てきている。
伊都の杜には今後、糸島の未来を担う若者たちが、地元で暮らし続けるために必要な“職住近接”エリアとしての、さらなる発展を期待したい。
(了)
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