日本橋川に「青空を取り戻す」 首都高の地下化プロジェクト(前)
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日本橋の直上を通る首都高速道路(以下、首都高)の地下化プロジェクトがついに始動する。今年9月、東京都の都市計画審議会は、都心環状線の日本橋区間約1.8km(トンネル区間は約1.2km)の地下化を承認。
今後、事業認可などの手続きがスムーズに運べば、来年7月開催の東京オリンピック終了後に着工予定で、早ければ2040年ごろに完了(既存高架の撤去含む)の見込みだ。概算事業費は約3,200億円。わずか約1.8kmの事業区間を考えれば、ケタ違いの額だ。それでもプロジェクトが動き出したのは、三井不動産(株)などが手がける日本橋周辺の再開発計画が大きな後押しになったからだ。首都高速道路(株)が進める地下化プロジェクトとは、どのように進められてきたのか。
1964年東京オリンピック
首都高は、東京都心部の渋滞解消を目的に、1964年までに延長約33kmが開通して以降、拡張を続け、延長約320kmにおよぶ道路ネットワークを形成。現在も3カ所で新線の建設が進められている。1日の平均利用自動車台数は100万台に上り、首都圏の物流・交通を支える大動脈といえる。ちなみに、福岡・北九州都市高速は、延長が約106km、1日平均の利用台数が約28万台―料金収入年間収益は、首都高が約2,700億円、福岡・北九州都市高速は約600億円で、ざっと4倍以上になる。
首都高構想は、戦前からあった。当時の東京都京橋区に環状線を通し、横浜方面など4つの放射線を高架で延長69km整備するというものだった。戦争で一時凍結されたが、戦後に復活。1959年に首都高建設の都市計画が決定(8路線、延長71km)した。戦後の都心部では、道路整備の遅れから、慢性的な交通渋滞が発生。高架高速建設による渋滞緩和は、社会的な要請だった。同年には、東京オリンピックの開催も決定し、羽田空港と都心部のオリンピック施設のアクセス向上のため、延長約31kmを優先的に整備することになった。その間わずか4年。工事関係者にとって、オリンピックに間に合わせることは、至上命令になった。
道路整備は民地の用地取得に時間がかかる。首都高のルートには、用地取得交渉が不要な(協議は必要だが)河川や道路などの公共空間が優先して選ばれ、河川や道路がルートの8割を占めた。河川では、河川直上に高架をかけるほか、河川そのものを干上がらせて、河道をそのまま道路にした区間もあった(宝町~汐留間)。日本橋直上への建設も、工期短縮が最大の理由だ。
日本橋区間も、当初は日本橋川を干上がらせて、日本橋の下に高速を通す案があった。ところが、河川を管理する東京都から、治水を理由にストップがかかり断念。やむなく日本橋直上に高速を通さざるを得なかった。たられば話だが、もしこのとき都がOKを出していれば、日本橋地下化プロジェクトも存在しなかったわけだ。
(つづく)
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