2024年04月19日( 金 )

イメージセンサー分野でソニーに挑むサムスン(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 スマートフォンの機能のなかで、一番頻繁に使われている機能は、中国の場合カメラのようだ。だから、中国の消費者はスマホの機種を選択する際、カメラ性能の優劣を比較し、選択する傾向が強いという。

 良い写真が撮れるかどうかが、スマホ選びの主要なポイントとなっており、携帯電話の製造メーカーは、少しでも高い画素数のレンズを導入しようと争ってきた。また、画素数だけでなく、レンズの数も、1つから2つに、2つから3つに増やし、最近では4つのレンズまでが採用されるようになっている。

 しかし、カメラの性能を左右するコア部品といえば、実はイメージセンサーなのである。イメージセンサーはレンズから入った光をデジタル信号に変換させ、それをモバイルプロセッサに送る役割をする。イメージセンサーは、人間の体に例えるならば、人間の目に当たる部品で、目が受け入れた光の情報を脳に伝えるような役割を担っている。

 スマホ技術が発達するにつれて、イメージセンサーの画素数競争も激しくなっているが、サムスンは1億を上回る画素数のイメージセンサー開発に世界で初めて成功したと発表した。製品名はアイソセルブライトHMXで、画素数1億800万画素のイメージセンサーである。サムスンは今年5月に6,400万画素のイメージセンサーの開発に成功したばかりで、わずか3カ月でさらなる技術開発に成功しているわけだ。

 一方、業界1位を走っているソニー製品の画素数は、4,500万である。今回のアイソセルHMWは暗いところでも、2,700万画素が実現でき、暗いところでも鮮明な写真が撮れることがもう1つの大きな特徴のようだ。

 イメージセンサーは、日本企業の主導で、CCDイメージセンサーが先行した。CCDイメージセンサーは画質こそ良いが、価格が高く、電力消費が多いことが短所であった。それを代替するかたちで、電力消費が少なく、価格の安いCMOSイメージセンサーが登場し、徐々に市場を席捲していく。韓国はどちらかというと、CMOSイメージセンサーの開発から、市場に参入した。

 カメラはフィルムカメラからデジタルカメラ、それからスマホに進化しているが、日本企業、とくにソニーはカメラとイメージセンサー分野では、技術がずば抜けていて、イメージセンサー市場で、断トツの1位企業であった。

 スマホの需要は世界的に少し停滞気味であるが、インスタグラム、フェイスブックなどSNSの普及で、モバイル向けのイメージセンサーの需要は、増加し続けている。モバイル向けのイメージセンサーの比率は、全イメージセンサー市場の61%を占めている。イメージセンサー市場は、今後需要の拡大が見込まれ、今後も年平均成長率20%以上の成長が予測されている。

 現在の市場規模は137億ドルであるが、2022年には190億ドルに成長することが見込まれている。イメージセンサー市場には、モバイル向けだけでなく、自動走行自動車、人工知能、5Gなどの新しい需要も多いからだ。とくに、自動走行などの分野では、スマホ以上の需要があると言われている。

(つづく)

(後)

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