2024年04月27日( 土 )

福岡市は職員好待遇にメスを入れ、若い人への支援に本腰を入れるべき(後)

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福岡市議会議員 高山 博光 氏

 高山博光氏は福岡市議会議員当選11回、議員歴約40年の現役最古参であり、現在も精力的に現地に足を運び政治活動を行っている。福岡市の政策的課題、高島市政について高山氏に話をうかがった。

多子世帯への市営住宅優先入居を

 ――福岡市にとって、とくに重要な政策課題は何でしょうか。

 高山 福岡市にとって人口の維持は大きなテーマであり、人口政策が大事です。住民が減り、とくに子どもが激減した地域があります。志賀島の小学校では、かつて500人児童がいたのが2人にまで減り、教師6人で教えるという状況になっており、閉校寸前でした。今は児童が少し増えて8人(19年度)になっています。

 若い人への支援が必要です。福岡市の案件調査では、子どもを4人以上ほしいという夫婦は11%いますが、実態は1~2人にとどまっています。児童数が減った小学校の近くに市営住宅を建設し、子どもが4人以上なら無条件で市営住宅に入居できる、3人以上なら優先的に入居などの施策を提言しています。また学校によって児童数の差が大きく、たとえば城南区で児童数が一番多いのは別府小の全学年約1,000人ですが、金山小、堤丘小は約300人程度です。通学区域を変更して多い学校から少ない学校に通わせればこのアンバランスさを解決できると思うのですが、変更すると町内会活動の範囲とズレが生じるということで、調整が難しく、実現できていません。小学校の設備は税金を投じて整備されたものであり、子ども1人ひとりがきちんと享受できるようにしないといけません。

高山 博光 氏

 また、今後最も懸念される問題は、後期高齢者対策と「若い人への支援」だと思います。日本全国で非正規雇用が2,000万人を超え、うち1,100万人以上の年収が約170万円との報道があります。終身雇用制の下で安心して子どもを産み育てられる時代は過去のものとなりました。他方で、日本企業は460兆円の利益剰余金を積み上げており、これは人件費抑制によるところが大きいのではないでしょうか。政府は外国人に対してのみならず、日本の若者への支援をより積極的にやるべきです。若年層の貧困問題と人口問題はセットです。かつ次世代社会の健全な育成は喫緊の課題であり、安倍総理にはインバウンドや移民よりも日本の若者支援に重点を移してほしいと思います。

 観光政策についても問題提起をしています。福岡市には観光名所がないと言われますが、元寇防塁は世界史上に燦然と輝く史跡です。蒙古襲来を撃退した史跡が市内に延々と広がっていますが、この誇れる遺産を福岡市は観光資源として整備、開陳していません。西南学院大学内の遺構付近には駐車場がなく、生の松原には車両入口がなく、今津は整備されておらず寂しく怖く感じる場所です。箱崎の九州大学跡地の遺構は埋もれたままでして、九州大学と協力して公園として世界史上の観光名所を整備することを提案しています。海外インバウンドにとって日本ブームがきているのに無為無策です。観光地の周辺環境整備について市役所に何度も提言していますが、まだ理解を得られていません。

 ――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

 高山 市民の皆さんは必死で生きています。何か言いたいことがあっても言いにくそうにしている人、日ごろはものを言わない人の話こそ大事であり、政治家として丁寧に聞くことを心がけています。

(了)

【茅野 雅弘】


<プロフィール>
高山 博光(たかやま・ひろみつ)

1940年生まれ。早稲田大学第一政治経済学部卒、79年、福岡市議会議員に初当選し、現在11期目。今期は議会で総務財政委員会、都市問題等調査特別委員会に所属。
URL:http://takayama-jp.com

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