• このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年07月07日 16:14

【株主総会血風録1】大戸屋ホールディングス~買収を仕掛けたコロワイドが戦わずして“戦線放棄”の奇々怪々(1)

 定食チェーン「大戸屋ごはん処」を運営する(株)大戸屋ホールディングス(以下・大戸屋)が6月25日に都内で開いた定時株主総会で、筆頭株主の外食大手(株)コロワイドが提案していた取締役候補の議案が否決された。総会にはコロワイドは出席せず、株主提案の説明もなし。買収を仕掛けたコロワイドは”戦線放棄”したのだ。奇々怪々というほかはない。

コロワイドが担いだ大戸屋創業家の御曹司の賛成率はたったの13.96%

 大戸屋は6月26日、関東財務局に臨時報告書を提出し、株主総会で決議した取締役選任の賛成比率を明らかにした。会社提案と株主提案の主な候補の賛成比率は下記の通り。

【会社提案】:第1号議案(取締役11名選任の件)
候補者名
・窪田健一(代表取締役社長)
 賛成比率 62.00%
・三森教雄(東京慈恵会医科大学外科講座特任教授。創業者三森久実の実兄)
 賛成比率 62.13%

【株主提案】:第3号議案(取締役12名選任の件)
候補者名
・蔵人賢樹(コロワイド専務取締役)
 賛成比率 15.50%
・澄川浩太(コロワイド取締役)
 賛成比率 15.50%
・三森智仁(スリーフォレスト代表取締役。創業者三森久実の長男)
 賛成比率 13.96%

 大戸屋の創業家の御曹司、三森智仁氏は、賛成数7397、反対数3万1165と、賛成数は最少、逆に反対数は12名の候補のなかで最多となった。大戸屋の株主は御曹司の復帰にノーをつきつけたのである。

 コロワイドは、創業者の長男・智仁氏を取締役候補に据えることで、「創業家は支持している」とアピールした。だが、これが逆効果。現経営陣と対立してとっくに会社を辞め、父親が遺した持ち株をコロワイドに売り払った張本人が、コロワイドに便乗して取締役に返り咲こうとしていると、反発を買ったのも無理はなかった。智仁氏の評判がこれほど悪いとは、コロワイド側は想定していなかったようだ。

コロワイドの票がカウントされなかった

 『デイリー新潮』(2020年6月29日付)が、大戸屋の株主総会を報じた。株主提案の第3号議案(取締役12名選任 )のくだりはこうだ。コロワイドの大失態がわかる。

「議長を務めた大戸屋の窪田健一社長が、コロワイドに対し『提案株主が説明を希望する場合は説明の機会を設けたい』と発言しました。ところが、会場はシーンと静まり返ったまま。コロワイドの野尻(公平)社長は、株主総会には『オレが行く』と周囲に言っていたそうですが、来ていなかったのは意外でしたね。
 おそらく野尻社長は、株主に電話でお願いした感触が芳しくなく、負けを察したのかもしれません。わざわざ株主総会に出席して負けて、記者に囲まれるのを嫌ったんじゃないでしょうか。結局、『ご賛同される株主の方拍手をお願いとます』という声に対してシーン・・・。(会社提案の)第1号議案の時も、第2号議案のときにもドッと拍手が鳴り響いたんですけどね」(事情通)
 コロワイドの社員の出席者は1人のみだったという。

「第3号議案は事前に議決権行使されていました。ただし、当日、コロワイド側から出席者がいれば、その場での意思表明が優先されることになっています。にもかかわらず、コロワイド社員は、説明することも、賛成の意思を表明することもありませんでした。会場には、コロワイド側の申し立てにより、公正中立な立場である総会検査役も控えていましたが、彼らも拍手を確認できなかったそうです。そのため、コロワイドが持つ議決権数は賛成にも反対にも数えられませんでした」(同)

 コロワイドの社員は、総会のルールを知らなかったのかもしれない。コロワイドの持ち株比率は19%だが、賛成、反対、棄権にもカウントされず、賛成比率はほかの株主分の15%ほどにとどまった。コロワイドの票を加算しても34%程度で過半数にも届かないが、あんなみっともない負け方にはならなかった。

 コロワイドの野尻公平社長は、総会に出席して、株主提案の主旨を説明すべきだった。票読みをして「負けそうだから」と欠席したのであれば、あまりにお粗末すぎる。

(つづく)

【森村 和男】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年08月14日 07:00

コロナ禍で苦境となったカプセルホテル、ナインアワーズが再生へ(前)

 「今年の春、カプセルホテルやビジネスホテル、民泊などの宿泊特化型施設の売上は昨年同月比で10%以下にとどまったところが多かった。ナインアワーズでは、カプセル内UV照...

2020年08月14日 07:00

何が変わるのか?大阪市・水道管路更新コンセッション(中)

 この状況を打破すべく、2017年から大阪市水道局は、当初の5年間で耐震性の低い鋳鉄管を集中的に更新した後、次の5年間でペースを倍化し、古いダクタイル鋳鉄管を更新する...

2020年08月14日 07:00

「ウォーカブル」なまちづくりで神戸市は復活できるか?(3)

 基本計画のもう1つの目玉が、都市再生事業(雲井通5丁目再開発)として進めるバスターミナルビルの建設だ...

2020年08月13日 07:00

何が変わるのか?大阪市・水道管路更新コンセッション(前)

 大阪市水道局は、配水管の耐震化促進のため、2018年12月に成立した改正水道法に基づく「コンセッション方式(※)」による管路更新(耐震管への取替え)事業を進めている...

2020年08月13日 07:00

「ウォーカブル」なまちづくりで神戸市は復活できるか?(2)

 15年、神戸市はようやく重い腰を上げた。同年、三宮駅周辺地区の再整備基本構想を策定し、18年には構想に基づいて『神戸三宮「えき≈まち空間」基本計画』をとりまとめ、駅...

2020年08月13日 07:00

オールラウンドなまち福岡・大橋~整備の歴史と今後の開発計画(4)

 今年5月末に「ダイキョーバリュー大橋店」が閉店したほか、6月10日には「ニューヨークストア大橋店」が閉店。エリア内から一気に2店のスーパーが姿を消した。その一方で...

2020年08月12日 17:00

【スクープ】西日本新聞のスポーツ本部長がセクハラで処分 TNC「CUBE」にも出演

 西日本新聞社の「下半身」不祥事が止まらない。既報の通り、7月に社内不倫に絡む事案で記者2人が懲戒解雇されたのに続き、8月に入ってすぐに、報道番組でコメンテーターも務...

2020年08月12日 16:41

シノケンとTATERUが中間決算 不動産販売はいずれも減少

 12日、シノケングループ(東証ジャスダック)およびTATERU(東証一部)は、2020年12月期の中間決算を発表した...

2020年08月12日 16:36

ホークス柳田が月間MVP~6度目の受賞

 6、7月度の「大樹生命月間MVP賞」が12日に発表され、パ・リーグ野手部門で福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手が2018年5月度以来、6度目のMVPを受賞した...

2020年08月12日 15:48

「新型コロナ」後の世界~健康・経済危機から国際政治の危機へ!(1)

 東京大学大学院教授の小原雅博氏は近著『コロナの衝撃―感染爆発で世界はどうなる?』で「危機はこれまでは、国家や民族意識を高めてきたが、今の私たちは監視社会でない自由で...

pagetop