2024年04月20日( 土 )

コロナ経済対策の中核はこれだ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、「経済需要を拡大するための近道は、財政支出のバラマキではなく、コロナ感染を抑止すること。人々の所得を政策によって支えるため、消費税率の引き下げにまず着手すべきだ」と訴える8月18日付の記事を紹介する。


2020年4-6月期の実質GDP成長率がマイナス27.8%(前期比年率)に落ち込んだ。
予測された通りの結果になった。

(略)

最終需要が減退し、生産活動が大幅に落ち込んでいる。
重要なことは人々の生活を支えることである。
需要を無理に拡大しようとすることは適切でない。

(略)

財政資金をばらまいて旅行需要や外食需要を人為的に創出しても、旅行需要や外食需要が減少している原因が取り除かれなければ、財政支出のバラマキは一時的なカンフル剤にしかならない。
症状が一時的に抑えられるだけで、問題の解決につながらない。

(略)

旅行需要や外食需要が減退しているのはコロナ感染が拡大しているからなのだ。
コロナの感染拡大を抑止することが優先される必要がある。
ところが、安倍内閣が現在採用しているのは、コロナ感染を逆に拡大させる政策である。

「コロナはただの風邪」との判断を前提に置いているとしか考えられないが、この判断を基礎に置いて政策を遂行することは正しくない。
なぜなら、日本の経済主体の多数が、「コロナはただの風邪」と判断していないからだ。

安倍内閣が「コロナはただの風邪」との判断に確信を有しているなら、そのことを丁寧に説明する必要がある。
科学的根拠を明示して、日本の市民が納得する説明を示すべきだ。
日本の市民が「コロナはただの風邪」との判断を納得して受け入れるなら、需要拡大策は効果を発揮することになる。

しかし、日本の市民がその判断を共有しない限り、GoToトラブルキャンペーンは有効な効果を発揮し得ない。

(略)

経済活動を支えるための近道は、コロナ感染を抑止することだ。
コロナ感染が収束すれば、消費マインド、投資マインドは回復する。

(略)

ある程度の期間、経済活動が停滞することを覚悟する必要がある。
その場合、重要になるのは、政府が人々の生活不安の解消に万全を期すこと。
無理に人為的な需要を創出するのではなく、人々の生存に必要不可欠な所得を保障することが求められる。

企業に対する賃金支払い資金の助成、
失業給付の拡充、
生活保護制度の抜本改革と利用促進
が最重要である。

事業を持続するための運転資金融通も重要になる。
人々の所得環境が政策によって支えられれば、コロナ警戒感の後退とともに最終需要は拡大する。

(略)

安倍内閣が消費税率を10%に引き上げたのは、日本経済が景気後退に転落して1年後のことだ。
この消費税増税こそ、日本経済が不況に転落した主因である。

(略)

そのタイミングでコロナ問題が発生し、景気悪化を加速させた。
コロナで消費税増税不況という実態が見えにくくなったが、日本経済を不況に転落させた主因が消費税増税であることを確認しておくことが重要だ。
従って、まず着手すべきことは消費税率の引き下げなのだ。

※続きは8月18日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「コロナ経済対策の中核はこれだ」で。


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