川辺川ダムによる治水効果を再確認検証委、抜本的な対策は新会議体で(前)
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ダムあれば浸水6割減
九州地方整備局、熊本県、流域12市町村で構成する「令和2年7月球磨川豪雨検証委員会」の2回目の会合が10月6日、開かれた。席上、川辺川ダムが存在した場合(河道対策など除く)、球磨川(人吉区間)の浸水範囲は実際(約568ha)の約6割(約223ha)に減少するほか、浸水深3mを超える浸水範囲は約9割まで減少すると算出した。
水位で見ると、人吉市街部で約2.4m、球磨村渡地区で約1.8m、相良村柳瀬地区で約2.1mがそれぞれ低下すると推定。実際のピーク流量との比較では、人吉(人吉市)、渡(球磨村)地点で約2,900m3/s、横石地点(八代市)で約2,100m3/s、それぞれ減少するが、各地点の計画高水流量は軒並み上回った。ダム以外の治水対策(河道掘削、遊水地、市房ダム再開発、放水路など)との水位低減効果の比較では、同程度かダムが上回る結果となった。
川辺川ダムの総貯水容量は1億3,300万m3。このうち推定の前提となる洪水調整容量は、当初の灌漑、発電用の利水容量を引いた8,400万m3。この点、流域市町村メンバーから、「灌漑、発電利水が撤退した以上、もっと貯留できるのではないか」との質問があったが、事務局である九州地方整備局の担当者は言葉を濁した。このほか、流域市町村メンバーからは、穴あきダム(洪水時だけ水を貯める流水型ダム)など具体的な治水対策を求める声のほか、川辺川の水質を守りたいなどの意見などが出た。
年内に抜本的な治水対策へ
検証委は今回で終了。検証委員会という名前が付いているが、国と県が調査検証した内容をゲストである流域市町村メンバーに一方的に説明して終わった感がある。それでも、同委のメンバーで、川辺川ダム建設促進協議会会長も務める森本完一・錦町町長の提案を受けるかたちで、今後新たな会議を設置し、ハード、ソフト両面での抜本的な治水対策について協議することが決まった。新たな会合のメンバーなど詳しいことは未定だが、年内に何らかの結論を出すとみられる。九州地方整備局の担当者は、「我々としては、治水計画を直ちに策定し、できるものから着手していきたいと考えている」と話した。
(つづく)
【大石 恭正】
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