2022年01月25日( 火 )
by データ・マックス

ザ・キャピトルホテル 東急が「5つ星」獲得~アフターコロナにラグジュアリーホテルのあるべき姿とは(前)

 東急グループのフラッグシップホテルである、「ザ・キャピトルホテル 東急」(東京都千代田区/以下、キャピトル)は、フォーブス・トラベルガイドのホテル部門格付けで最高評価の5つ星を獲得した。2020年はキャピトルのリニューアル開業から10周年。節目の年に大きな花を添える快挙だといえる。
 ところが、世界的には今年は新型コロナウィルスが猛威を振るった凶年でもある。5つ星獲得をどう受け止めているのか。コロナによるホテル経営への影響、対策にはどのようなものがあるのか。アフターコロナ時代のホテル業界はどうなるのか。キャピトルの総支配人・末吉孝弘氏に話を聞いた。

5つ星獲得はラストチャンス

 ――フォーブス・トラベルガイドの5つ星獲得をどう受け止めていますか。

ザ・キャピトルホテル 東急 総支配人
末吉 孝弘 氏
((株)東急ホテルズ 常務執行役員)

 末吉 以前取材を受けた際に、「もうすぐ5つ星を獲れる」と豪語していたので、結果がわかった瞬間、正直に言うと「獲れて良かった」とホッとしました(笑)。

 今年は、当ホテル開業10周年の節目の年にあたります。この10周年にすべての照準を合わせ、いろいろなことにチャレンジしてきました。私が総支配人に就任したのは3年前ですが、この間私が行ってきたことは、すべてこの10周年に向けて設計されたものだといっても過言ではありません。そうして設計したものすべてが、今年実現し、お客さまに受け入れられるというカタチで、花開いたという実感があります。

 そのなかでも、5つ星獲得に向けては、綿密な計画を立て、準備をしたうえで、トレーニングを積んできました。私はこの間、アソシエイツ(従業員)の間で「5つ星を獲るんだ」という意識が段々と根付いていく様子を肌感覚で感じていました。

 コロナ禍にあって、当ホテルも経営状況は悪化しており、私としては、5つ星獲得は皆の気持ちを前に進めさせるうえで、ラストチャンスだと思っていました。ホテリエにとって、「5つ星のホテルで働く」ということは、自信につながります。アソシエイツを鼓舞するという意味でも、5つ星獲得は大きなインパクトがあったと考えています。

 ――5つ星獲得によって、周りから見る目も変わると思いますが…。

 末吉 インバウンド需要が旺盛な状況であれば、それはより顕著になっていたと思います。2021年の格付けで、当ホテルのほか新たに3つのホテルが5つ星を獲得し、日本の5つ星ホテルは全部で10ホテルになりました。これにより当ホテルは、世界的な権威であるフォーブス・トラベルガイドの格付けによって、日本のラグジュアリーホテルの10本の指の1つとして認められたことを意味します。

 世界中のお客さまから、「このホテルはハイクラスなホテルなんだろう」「1回泊まってみたい」という期待をもって、ご宿泊いただく機会も増えるだろうと思っています。

フォーブス・トラベルガイド2021年格付けによる日本国内の5つ星ホテル

ザ・キャピトルホテル 東急(初)
ホテルニューオータニ東京エグゼクティブハウス禅
マンダリンオリエンタル東京
パレスホテル東京
ザ・ペニンシュラ東京
ザプリンスギャラリー東京紀尾井町ラグジュアリーコレクションホテル(初)
ザ・リッツ・カールトン東京(初)
シャングリ・ラ東京
高輪花香路(初)
ザ・リッツ・カールトン京都

※(初)は2021年に5つ星を獲得したホテル

コロナによって「常識がぶっ壊された」 

 ――節目の年にコロナ禍に見舞われました。

 末吉 先ほど申し上げた通り、開業10周年は当初の計画通り迎えることができたと考えています。しかし、これからの展開については、なかなか見通せないところがあります。10年後はもちろん、1年後ですら誰もわからないのが現状です。過去の常識は、コロナ禍によって、すべてぶっ壊されてしまいました。

 私は、壊れたものを元に戻すのではなく、新しく創り出そうと思っています。当ホテルには、自分たちでアイディアを出し、それを実現して、お客さまに受け入れられる成功体験をもったチームがあります。アフターコロナに向けて、このチーム力をさらに強固にしていくため、アソシエイツを鍛えていきたいと考えています。

 ――コロナ禍によって「常識がぶっ壊された」とのことですが、ホテル経営への影響にはどのようなものがあったのでしょうか。

 末吉 端的にいえば、「財政的な面で、ホテル経営が危ぶまれる」という状況に陥ったということです。これは、どこのホテルも同じ状況だと思います。客室稼働率が完全に低迷し続けているためです。当ホテルはとくに、インバウンド比率が7~8割と高いので、その影響は非常に大きいものがあり、4月以降は毎月赤字が続いています。

 私が今考えていることは、「どのようにして収支を均衡させるか」です。収支均衡のためには、宿泊だけに頼る一本足打法ではダメです。客室をただ客室としてだけ販売していたのでは、稼働率は上がりません。発想を変える必要があります。これまでのように人海戦術でサービスのクオリティを上げることもできません。「アソシエイツを鍛える」ことによって、生産性を上げていくしかありません。

(つづく)

【大石 恭正】


<HOTEL INFORMATION>
ザ・キャピトルホテル 東急
所在地:東京都千代田区永田町2-10-3
TEL:03-3503-0109
URL:https://www.capitolhoteltokyu.com

(中)

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