2024年03月29日( 金 )

世界平和に向けて(11)DEVNETが取り組むSDGsの柱~人材育成における「外国人技能実習制度」の役割

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 NetIB-Newsでは、世界平和を実現する一助となるべく、外国人留学生・技能実習生などに関するトピックを取り上げていく。今回は、DEVNET International(以下、DEVNET)から提供していただいた外国人技能実習制度への支援についての記事を下記に紹介する。  なお、この記事は世界の有識者約1万4,000名に配信されているニュースサイト「OTHER NEWS」(配信言語は英語、スペイン語、イタリア語)にもDEVNET発のニュースとして掲載されている。

 DEVNETは、先進国と発展途上国の間で生じている人材のアンバランスが社会に大きな歪を生み出していると考えている。発展途上国から先進国へと急激に経済成長した日本、さらには移民政策に積極的に取り組み始めた日本がこれから進んでいく道には、先進国と発展途上国間の人材のアンバランスを解決していくヒントが多数見つかるはずだ。

 DEVNETは2030年に向けて、アジアの途上国を中心に1 万人の起業家を誕生させることを目標としている。1万人の起業家の経済活動は、100万人の生活者を支えることになるからだ。

 起業家には、学歴・職歴よりも世の中を変えていきたいと思うマインドが何よりも必要だ。日本で職業教育を受ける外国人は学歴で絞られることなく、高卒レベルは技能実習生として、大卒レベルはインターンや技術・人文・国際業務の在留資格で実務にあたることができる。

 一例を挙げると、一流の大手流通企業の国際展開に合致し、実習生らにとっても、母国に帰った後に優位な条件で就業でき、また幹部として登用されるうえでも優位となる。

 DEVNETは複数の在留資格に目を配りつつ、起業家の卵を見つけて育てていく方法を模索している。近年、外国人技能実習生の増加が著しいが、そのなかからの人材の発掘は、関連する「国際異業種協同組合」を使って情報収集にあたっている。
 現時点での状況報告を以下に述べる。

外国人技能実習制度への支援活動と意義

 技能実習制度は、SDGsとして掲げられている17の目標のうち、以下の9つの目標に関連している。

(1)No poverty(貧困)
(2)Zero Hunger(飢餓)
(3)Good health and well-being(健康)
(7)AFFORDABLE AND CLEAN ENERGY(エネルギー)
(8)DECENT WORK AND ECONOMIC GROWTH(経済成長)
(9)INDUSTRY, INNOVATION, AND INFRASTRUCTURE(産業と技術革新の基盤)
(10)REDUCED INEQUALITIES(国家間における平等)
(11)SUSTAINABLE CITIES AND COMMUNITIES(持続可能な住居環境)
(12)RESPONSIBLE CONSUMPTION AND PRODUCTION(消費と生産) 

 本制度が適正に運用されるならば、発展途上国における「安定した雇用と安全な労働環境」、「先進国の技術・知識の提供」に大きく寄与するものとなる。DEVNETは本制度の適正な運用に向けて、「監視」も行っている。

 外国人技能実習制度の理念は、日本が先進国としての役割をはたしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能や技術、知識の開発途上国などへの移転を図り、開発途上国などの経済発展を担う「人づくり」に協力することにある。

 本制度は、1960年代後半頃から海外の現地法人などにおいて社員教育として行われていた研修制度を原型として93年に制度化され、2016 年11月には大きく改訂された。

 同制度は、発展途上国の若者(高卒レベル)が、入国前に企業・個人事業主などの実習実施者と雇用関係を結び、出身国において修得が困難な技能などの修得・習熟・熟達を図るものだ。その期間は最長5年であり、技能実習計画に基づいて行われる。現在、日本国内の外国人労働者146 万人中の30万8,489人(19年10月厚生労働省調べ)がこの外国人技能実習生である。

 DEVNETはこの制度の理念に賛同し、以前より日本と東南アジア諸国を中心とした国々や技能実習制度に関与する監理団体「国際異業種協同組合」と連携を図り、発展途上国の若者を外国人技能実習生として積極的に招聘してきた。

 招かれた実習生の目的は、日本の民間企業で働き、その技術および知識を自国に持ち帰ることであり、母国の経済成長を促すことも求められる。外国人技能実習生として日本に招くためには、日本と対象諸国の国家間、受入を行う民間企業、対象国における教育機関との連携が必要不可欠であり、国境を超えた活動が必要となる。

 同制度の目的は、単純な雇用と労働の確保ではない。もしそうなってしまえば、それはただの「出稼ぎ」である。

 発展途上国の若者が日本で技術・知識を学び、自国での経済発展に結びつけることが最大の目標であり、目標達成のためには採用だけではなく、採用後、および帰国後のアフターフォローを実施する必要がある。

 DEVNET はJICA(独立行政法人国際協力機構)と連携し、実習生が日本で身に着けた技術・知識を活用し、現地で起業するための投資・融資のシステムを確立するための取り組みを進めている。 

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