2024年04月26日( 金 )

【著者解説】『鹿児島県の歴史入門』執筆にあたって~先着5名さまに著書プレゼント

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麓 純雄 氏

 本書は、一般の大人に対しては鹿児島県の歴史を「わかりやすく」とらえられるように、青少年に対しては自分の住む地域への理解と愛着を深めるための「郷土教育資料」として活用できれば、と思い執筆したものである。

 本書執筆に至る経緯や「郷土教育資料」執筆に関して詳しく述べたい。筆者は、小学校教諭となり社会科を研究教科(全教科教える小学校でも研究教科はある)としたが、折にふれ授業で使う副読本として「郷土教育資料」作成に関わってきた。

 学校長としては4校12年勤務した。校長1校目は、大隅半島山間部の小規模校であったが、歴史的には「鹿児島開拓の縮図」といわれ、地理的には茶畑が棚田の如く広がっていた。入学式前には、地域(校区)や学校の歴史をまとめ「郷土教育資料」として活用させたい、と思っていた。このことが以後の活動のきっかけである。2校目以降は、地域の中心校・大規模校であったが、同じような活動を続け、ありがたいことに現職時に『奄美の歴史入門』『谷山の歴史入門』『鹿児島市の歴史入門』(いずれも南方新社)として出版し、他は学校の記念事業としてPTA予算で製本し、地域や保護者に配布した。

 退職後、地域をより広げる意味で本書のようなものを考えたこともあったが、次の2点の理由により断念していた。

 第1に、視点と方法に関する理由だ。小学校の歴史教育でよくいわれるのが“薄墨”論であり、児童・生徒の発達段階や授業時数から、高等学校→中学校→小学校と下がるにつれて、学習内容は自ずと薄くならざるを得ない、というものである。本書も「入門」ということで、鹿児島県の歴史を「わかりやすく」まとめるだけでは、すでに出版されている概説書・通史書を「薄く」、表面的に取り上げるにすぎなくなる。何らかの視点や、視点をふまえた記述内容・方法が必要となるが、みつけられずにいた。ちなみに、小学校歴史教育の視点は、時代の中心的な人物を取り上げ、その人物の業績などを調べることで、時代の特徴を把握しようとする人物中心の学習である。

 第2に、鹿児島県全体を扱うのであれば、参考資料として各市町村編纂の郷土誌などを含めると、その分量はあまりにも膨大であり、全県の通史として描くには個人の力量を超えていた。

 以上のことをふまえ、本書では鹿児島県の歴史を「わかりやすく」理解することを基本的な目的とし、「日本史のなかの鹿児島県」という視点から描いている。その方法は、高等学校の日本史教科書を分析し、その内容を本書の記述内容にも活かしていくというものだ。具体的には、教科書における鹿児島県関係の記述内容や鹿児島県出身者(歴史上の人物)の取り上げ状況を参考にし、記述していく。

 小学校の歴史教育ではないが、教科書に記述された人物にも焦点を当てる。教科書記述を分析することによって、「郷土の先人・偉人」が日本史上でどのような位置付けにあるのかつかむこともできる。マクロとミクロ、ともに必要な視点である。ちなみに、鹿児島の歴史上の「重要人物」は6人だが、全員当てられる人は少ないと思う。

 記述方法については、データ・マックスから「鹿児島の歴史を県外の人にもわかるようにネット掲載したい」と求められ、最初島津氏を中心として10回(A4サイズ1枚程度)掲載した。記述方法は自ずとテーマ別となり、その後も続き、全部で41回にもなった。大まかには時代ごとであるが、テーマ別のほうがまとめやすかった。また、テーマ別にすることによって、鹿児島県の特徴的な歴史事項、たとえば隼人や奄美の砂糖、流人なども焦点化しやすく、総合的に取り上げることができた。

 本書が、鹿児島県の歴史「入門」書として参考になり、読者が本書をきっかけとして歴史への関心を深め、さらに専門的な概説書や研究書へと読み進めるようになれば、大変ありがたい。

 鹿児島県に関連ある方々を優先して、先着5名さまに同著をプレゼントする。

 応募の詳細は下記の通り。

『鹿児島県の歴史入門』プレゼント

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お申込み専用アドレス→ hensyu@data-max.co.jp
FAXの場合はこちら 092-262-3389(読者プレゼント係宛)


<プロフィール>
麓 純雄
(ふもと・すみお)
1957年生。鹿児島大学教育学部卒、兵庫教育大学大学院修士課程社会系コース修了。元公立小学校長。近年の著書に『奄美の歴史入門』(2011)『谷山の歴史入門』(2014)『鹿児島市の歴史入門』(2016 以上、南方新社)。監修・共著に『都道府県別日本の地理データマップ〈第3版〉九州・沖縄地方7』(小峰書店、2017)など。

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