2024年03月29日( 金 )

都心の利便性と居住性が魅力、福岡市「薬院・平尾エリア」(4)

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右肩上がりの人口増を支える旺盛なマンション供給

 冒頭で触れたように、現在の薬院および平尾エリアは居住区として、福岡市内でも屈指の人気を誇っている。

 住民基本台帳に基づく、小学校区別の人口および世帯数の推移を見ると、「警固小学校区」(薬院1・2丁目、今泉1・2丁目、渡辺通2・4丁目と5丁目の一部、警固1~3丁目)では、2000年9月末時点で世帯数7,436、校区人口1万2,832人だったものが、20年9月末時点では世帯数1万1,689、校区人口1万8,288人と、世帯数は1.57倍、校区人口は1.42倍に増加している。一方の「平尾小学校区」(薬院3・4丁目、平尾1~5丁目、南公園、桜坂3丁目の一部、平尾浄水町、御所ヶ谷、浄水通、古小烏町、平丘町、薬院新町、山荘通3丁目)でも、2000年9月末時点の世帯数8,619、校区人口1万6,601人が、20年9月末時点では世帯数が1.62倍の1万4,029、校区人口が1.47倍の2万4,517人と、こちらも急激に増加。薬院および平尾のそれぞれ単一エリアでの推移ではないものの、この20年間、常に落ち込むことなく右肩上がりで増加を続けている数字データからは、このエリアの人気の高さがうかがい知れる。

 こうした高い居住ニーズを満たすべく、薬院・平尾とその周辺エリアでは旺盛なマンション開発および供給が行われている。

デュレジア薬院テラス イメージパース

 積水ハウス(株)福岡マンション事業部はこれまで、「グランドメゾン浄水ガーデンシティ フォレストゲートⅢ」(薬院4丁目、159戸、18年12月竣工)や、「グランドメゾン平尾ザ・スタイル」(高砂2丁目、36戸、20年2月竣工)など、薬院・平尾エリアで積極的なマンション開発および供給を行ってきた。現在は、19年3月末に閉館となった九電記念体育館跡地において、「グランドメゾン浄水ガーデンシティ セントラルフォレストⅠ」(薬院4丁目、196戸、21年12月竣工予定)の開発を進めているほか、「グランドメゾン薬院ザ・タワーレジデンス」(薬院3丁目、81戸、22年6月竣工予定)の開発も進めている。ハイクオリティマンションとして名高い「グランドメゾン」シリーズが供給されることで、居住区としての薬院・平尾エリアのブランド力の向上に一役買っている。

 (株)LANDICホールディングスは現在、共用部にコワーキングスペースやルーフトップテラスを設けた「デュレジア薬院テラス」(高砂2丁目、78戸、22年3月竣工予定)と、共用部にキッチンスタジオとテラスを設けた「アソシア小笹翠景」(小笹3丁目、101戸、22年3月竣工予定)の2棟のマンション開発を進めている。ファミリー型マンション「アソシア」と都市型コンセプトマンション「デュレジア」の2種類を供給することで、同エリアにおける居住ニーズに幅広く応えている。

エイリックスタイル 薬院南グランウィズ イメージパース

 20年5月に免震構造のタワーマンション「CLUB THE. 薬院ステーションタワー」(白金1丁目、78戸)を完成させた(株)アライアンスは現在、「エイリックスタイル 薬院南グランウィズ」(高砂2丁目、38戸、21年3月竣工予定)、「エイリックスタイル小笹センターマーク」(小笹3丁目、65戸、22年1月竣工予定)、「CLUB THE.平尾駅前」(平尾2丁目、37戸、22年2月竣工予定)など複数のマンション開発を進行。薬院・平尾エリアでの積極的な展開を行っている。

 ほかにも、薬院駅のすぐ東側の渡辺通2丁目では旭化成不動産レジデンス(株)による「パール福岡」ビルの建替えプロジェクトが進んでいるほか、(株)オープンハウス・ディベロップメントが平尾3丁目と白金1丁目で2棟のマンションを計画。さらに、西日本鉄道(株)が21年7月ごろ着工予定で、「(仮称)薬院三丁目計画」(薬院3丁目、58戸)などの開発を進めている。

 現在、福岡市地下鉄七隈線の博多駅までの延伸事業が22年度の開業目標で進められており、今後、交通結節点としての利便性の向上とともに、居住区としての人気はさらに高まっていくことが見込まれている。マンションデベロッパー各社による旺盛な開発の進行は、そうした薬院・平尾エリアの将来像を見越した、いわば先行投資だといえよう。そうして供給された魅力的なマンションが、居住区としてのブランドをさらに高めていくことで、福岡市内における人気は不動のものとなっていくだろう。

(了)

【坂田 憲治】

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