2022年06月27日( 月 )
by データ・マックス

シェアプラスαの利便性、セットアップオフィス(前)

オフィスの居抜き

サンフロンティア不動産(株) 執行役員 リプランニング事業統括責任者 小田 修平 氏
サンフロンティア不動産(株)
執行役員 リプランニング事業統括責任者
小田 修平 氏

 中小型サイズ、築30年程度のオフィス物件を取得し、リノベーションを施すなどで付加価値を高め、高水準の賃料でテナント誘致を行う不動産再生=バリューアップ事業――バリューアップの手法として、にわかに注目を集めるのが「セットアップオフィス」だ。不動産再生事業(リプランニング®)を主力事業として推進するサンフロンティア不動産(株)の執行役員で、リプランニング事業統括責任者・小田修平氏に、コロナ禍の激変期に入り、入居企業にとって移転コストを抑えられるセットアップオフィス市場の変化について、話を聞いた。

 同社では2013年から、原状回復後のオフィスに受付や応接室などをあらかじめ設置した状態でテナント企業に貸し出すセットアップオフィスを開始し、20年11月末までに約700室を提供してきた。そのきっかけについて、小田氏は次のように話す。

 「ファンドバブル期につくられた豪華な内装のオフィスが、リーマン・ショックにより、入居後数カ月でテナントが移転し、原状回復しなければならないケースが多発。つくったばかりでお金がかかった内装を壊すのはもったいないと考えていた。そこで、飲食店などの居抜き店舗に注目し、09年にマッチングサイト『そのまんまオフィス』を開始した。市況が回復するにつれ、居抜きオフィス掲載件数が不足し始めたため、自社ビルで約200万円をかけて応接室を設置し提供をしたことが、当社のセットアップオフィスの始まり。その後もセットアップオフィスの供給を続けていたところ、一般的なオフィスよりも高い賃料でもテナントさまに借りていただけるようになり、不動産のバリューアップの手法として、内装工事の内容に改良・改善を加えながら進化を続けてきた。その効果に着目した不動産各社も、18年ごろからセットアップオフィス市場に参入し始めている」(小田氏)。

セットアップオフィス事例1
セットアップオフィス事例1
セットアップオフィス事例2
セットアップオフィス事例2

コロナ禍で需要増

 「コロナ禍で働き方やコストに対する意識が変化してきた。オフィスの規模を縮小、または分散したいというテナントの移転需要が高まり、賃貸市場では解約が増えた。ただ、新規契約も増えており、すぐに移転し始業できるという手軽さと、初期投資を軽減できる点から、セットアップオフィスのニーズはより一層高まっていると感じる」(小田氏)。

 セットアップオフィスに入居する企業の平均入居期間は、2年程度。そうした短期の入居であれば、内装や設備・什器の購入など初期コストを大幅に削減し、代わりに新規開発や人件費などに投資できる点が魅力となっている。

 「セットアップオフィスは、そのほとんどが普通借家契約2年であり、6カ月前に通告すれば契約途中でも退去できる。しかし、コロナ禍における6カ月は、期間として長いと考えており、より柔軟性の高い契約形態として、施設利用契約という短期間の契約形態の開発・提供を進めている」(小田氏)。

(つづく)

【石井 ゆかり】

(後)

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