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ともに発展してきた県都と泉都、大分&別府の今昔、そして未来は――(6)
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2021年04月08日 07:00

ともに発展してきた県都と泉都、大分&別府の今昔、そして未来は――(6)

最盛期を迎えた国際観光温泉文化都市

東京タワーなどの「タワー6兄弟」三男坊・別府タワー
東京タワーなどの「タワー6兄弟」
三男坊・別府タワー

 一方の別府市では、戦後の別府観光の再建に向けて、47年8月に別府商工会議所を中心に、別府国際観光港設置期成会が発足。また、同月には1日1便の別府~阪神間の航路が復活し、徐々に観光再建が進んでいった。そして50年7月の国際観光温泉文化都市建設法の公布により、別府市は全国第1号の国際観光温泉文化都市に指定。ここから本格的な観光振興および都市開発が進んでいくことになる。

 51年2月には国際観光道路(現・九州横断道路)の整備が着工し、同年9月には別府国際観光港の整備が着工。また、57年3月から開催された別府温泉観光産業大博覧会の目玉施設として、同年5月に「別府タワー」(当時の名称は観光センターテレビ塔、61年1月に改称)が竣工し、今でも別府のランドマークになっている。

 また、60年代に入ると別府温泉の各地や近在に新たな観光施設が次々と整備されていき、62年12月には鶴見岳の山麓と山上を結ぶ別府ロープウェイが運行開始するほか、64年10月には大分市の別府市近接エリアに大分生態水族館マリーンパレス(現・大分マリーンパレス水族館「うみたまご」)が開業。67年3月には城島高原に新たな遊園地・キジマモートピアランド(現・城島高原パーク)が開園した。また、付随して大型ホテルや旅館なども林立し、高度経済成長期の別府は社員旅行や修学旅行などの多くの団体客をはじめ、年間1,000万人を超える観光客が訪れるなど、観光都市として最盛期を迎えた。

近年までの都市の変遷、そして現在へ――

 高度経済成長期に急激な発展を遂げた大分・別府の両市だが、その後のバブル崩壊などの経済情勢の変化とともに、都市の様相に変化が訪れている。

 交通インフラ面では、大分自動車道や東九州自動車道の延伸・開通とともに、別府IC(89年7月)、大分IC(92年12月)、大分光吉IC(96年11月)、大分米良IC(96年11月)、大分宮河内IC(99年11月)などのインターチェンジが次々と供用開始。高速道路を通じて、福岡・北九州・熊本などの九州内の主要都市とつながったことで、交流人口の増加や物流機能の大幅な向上を果たした。

 97年4月に県内唯一の中核市に指定された大分市は、いわゆる“平成の大合併”では05年1月に佐賀関町および野津原町を編入し、市域を拡大。また、2000年12月にトキハわさだタウンが開業したほか、02年4月には大分スポーツ公園(01年3月開園)の隣接地に県内最大の複合商業施設・パークプレイス大分が開業するなど、郊外型の大型複合商業施設が次々と誕生。その一方で都市のドーナツ化が進行し、大分駅前周辺などの中心市街地に林立していた大型スーパーが次々と撤退していった。

パークプレイス大分
パークプレイス大分
再開発でマンションが立ち並ぶ大分駅・上野の森口(南口)側
再開発でマンションが立ち並ぶ大分駅・上野の森口(南口)側

 96年から大分駅周辺では連続立体交差事業(高架化)が行われ、それにともない市は大分駅周辺総合整備事業を実施。中心市街地としてにぎわいを見せていた府内中央口(北口)側に比べて、線路で分断されていたことで開発が遅れていた上野の森口(南口)側を情報文化都心と位置付けて開発を進め、中核的施設のホルトホール大分が13年7月に開業した。また、12年3月の高架化完了後も駅ビルの再開発を含めた周辺の開発は進められ、複合商業施設のアミュプラザおおいたやJR九州ホテルブラッサム大分、温浴施設・シティスパてんくうなどで構成される新たな駅ビル・JRおおいたシティが15年4月に開業。19年9月には駅北口側の閉店した大分パルコ跡地で、都市型公園である祝祭の広場の供用を開始し、駅前の様相は一変した。

 別府市では80年代以降、団体旅行から個人旅行への変化や、国内観光施設の競合激化、娯楽の多様化などにより、次第に観光客が落ち込んでいくことになる。こうした状況を打破すべく、96(平成8)年8月8日の8時8分に、「別府八湯勝手に独立宣言」を実施。それまで「別府」という大きなエリアで捉えられていた温泉地を、八湯(別府温泉、浜脇温泉、観海寺温泉、堀田温泉、明礬温泉、鉄輪温泉、柴石温泉、亀川温泉)それぞれの個性を打ち出す方向に転換し、99年7月からまち歩きツアー・別府八湯ウォークを開始するなど、個人旅行客のニーズに対応した新たな観光の在り方を模索し出した。また、05年度からは市による鉄輪地区都市再整備事業などが実施。鉄輪温泉の蒸し湯のリニューアルをはじめ、メイン通りの「いでゆ坂」「みゆき坂」の石畳舗装などを行い、温泉地らしい街並み・景観の創出を行った。

石畳舗装された鉄輪温泉のメイン通り
石畳舗装された鉄輪温泉のメイン通り

 一方で、2000年4月の立命館アジア太平洋大学(APU)の開学などをきっかけに、別府市内には多くの留学生が在住するようになり、国際都市としての性格も帯びていく。それが観光面で大きく寄与したのが、近年のインバウンドの恩恵だった。これだけの多様な温泉群が密集する地区は世界的にも珍しく、中韓だけでなく、欧米などからも多数の観光客が押し寄せ、往時とは一味違った国際色豊かなにぎわいを見せた。また、07年12月には、大型コンベンション施設・ビーコンプラザ(95年3月開業)を主会場として、アジア・太平洋地域の47カ国から政府首脳や国際機関の代表などを招いた国際会議・アジア太平洋水サミットが開催されたほか、10年8月には「2010年日本APEC」の一環で成長戦略ハイレベル会合が開催されるなど、観光以外での国際交流も深めていき、国際観光温泉文化都市としてのアイデンティティーを再確立。現在に至っている。

ビーコンプラザ
ビーコンプラザ

(つづく)

【坂田 憲治】

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