2024年04月16日( 火 )

「地域主体へ」コロナ禍の危機感がインバウンドの質的転換となるか(1)

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広義のインバウンド事業へ

 日本でインバウンドが叫ばれ始めた要因の1つには、人口減少がある。日本の人口が増えて税収が右肩上がりの時代には、インバウンド事業はそれほど重要視されていなかった。人口減少は、とくに地方の衰退を引き起こすため、その解消策としてインバウンド事業に注目が集まった。結果として、日本のインバウンド事業は訪日外国人旅行者数、消費額が急伸し、輸出規模においては自動車についで第2位となり、日本の基幹産業となった。

 しかし同時に、地方創生に直結していないという課題も出てきた。(一社)日本インバウンド連合会・理事長の中村好明氏は、インバウンドを単なる人口減少の埋め合わせにしてはならないと警鐘を鳴らす。同氏は同事業によって沖縄のようにレジャーを中心とした観光事業成功にともなう雇用創出、それによって人口が増加している状況もあるとしつつも、レジャー部門以外を含めた広義のインバウンド事業を進める必要があるとしている。

 「ヒト・モノ・カネ・情報など、日本に向かってくるすべてのベクトルの最大化を図らなければならない」(中村好明著「インバウンド戦略 12の極意」時事通信出版局発行、2018年)。

 仮に狭義のインバウンド事業、つまりレジャー部門を中心に同事業を拡大し続けたとしても、一時的なものに過ぎず、長期的な地域経済の活性化にはつながらない。さらに、外国人観光客のニーズも、時代の変化とともに変化していく。

潜在力高い日本のインバウンド

 観光立国の下、地方創生に直結するうえでの課題は指摘されつつも、アフターコロナにおける海外旅行者の日本ニーズは高い。20年に発表された世界経済フォーラムでは、日本について【図1】のように結果が出ている。縦軸で上にあるほど衛生面が高い数値を示し、横軸で右にあるほど観光地としての魅力が高いことを示している。つまり日本は、世界で最も「衛生面」と「観光地としての魅力」で高い評価を受けている国となっている。また、同フォーラムでは、日本がアフターコロナにおいて最も人気のある国になる可能性が高いとした。

【図1】世界経済フォーラム 2019年調査結果
【図1】-世界経済フォーラム 2019年調査結果

(つづく)

【麓 由哉】

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