【唐津街道中膝栗毛/前編】開発の波に呑まれ、往時の面影はわずか 唐津~博多の旧宿場町
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今宿(福岡市西区)
風光明媚な、海沿いの旧宿場町
今宿宿は、現在のJR筑肥線・今宿駅の北側、今津湾に面した一帯にあったとされる宿場町である。もともとはこの地に宿場町はなかったようだが、前原宿と姪浜宿の距離が長かったため、1685(貞享2)年ごろに設けられたとされている。筑前国の怡土(いと)郡と志摩郡との結節点にあたる交通の要衝で、前原宿と姪浜宿の中継地として、旅人らで賑わったとされている。また、周辺には元寇防塁跡も残されており、宿場町ができる以前は海からの外敵を防ぐ防衛の要の地でもあったようだ。
現在の今宿宿は、街道筋に沿って追分石(街道の分かれ道に建てられた石の道標)が現存するほか、海を臨む二宮神社とその境内にある常夜燈など、かつての宿場町の面影がわずかながら残っているものの、大部分は海沿いの静かな住宅街になっている。街道筋のすぐ南の道路は、福岡方面に向けて風光明媚な海岸沿いを通る幹線道路となっており、相応の交通量がある。なお、今宿駅の駅舎は、なまこ壁の蔵風の歴史を感じさせるような外観となっているが、1943年6月に建てられたもの(86年に改築)で、さすがに江戸期のものではない。周辺でのマンション開発の動きは、(株)タイヘイ(北九州市小倉北区)による「サングレート今宿オーシャンテラス」(36戸、21年8月竣工)があるほか、(株)ジェイエイ福岡(福岡市中央区)による「(仮称)今宿駅前ビル新築工事」(ワンルーム外37戸、設計・施工:照栄建設(株))などの建設工事も進んでいる。
【坂田 憲治】
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