2024年04月20日( 土 )

リッツ・カールトン開業でどう変わる?雑多さ魅力・若者のまち「福岡・大名」(前)

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着々と進む大名小跡地再開発

 天神ビッグバンにおける“西のゲート”と位置付けられている「旧大名小学校跡地活用事業」が着々と進んでいる。

 同事業は、天神ビッグバンの中核事業の一環として、大規模なフロア面積と高度なセキュリティを備えたオフィスや、高い質と品格、ゆとりある客室を有するラグジュアリーホテルや日本初進出の商業店舗など、グローバルビジネスを呼び込むための高機能な複合施設を整備し、天神ビッグバンの推進に寄与するもの。同事業を進めるにあたっては、事業期間70年間の定期借地方式で市から敷地を借り受け、事業者である積水ハウス(株)、西日本鉄道(株)、西部ガス(株)、(株)西日本新聞社、福岡商事(株)の5社が「大名プロジェクト特定目的会社」を設立。九州初進出のラグジュアリーホテル「ザ・リッツ・カールトン」を核とする地上25階・地下1階の高さ約111mのオフィス・ホテル棟を中心にした開発を進めている。本体工事は19年12月に着工し、竣工および全体供用開始は22年12月を、ホテル開業は23年3月を予定している。

着々と進む「旧大名小学校跡地活用事業」
着々と進む「旧大名小学校跡地活用事業」

 計画では、約3,000m2の広場を囲むように、北側に地上24階建ての「オフィス・ホテル棟」を、西側に公民館などの公共施設などが入る地上18階建ての「コミュニティ棟」を整備するほか、イベントホールや立体駐車場なども整備される。また、福岡市で進められている「感染症対応シティ」の取り組みにも対応。オフィス外装カーテンウォールに自然換気スリットを導入するほか、広場に面して外気に開放された緑化テラスや回廊を設置するなどの「換気」対策、タッチレスエレベータ呼出システムなどの「非接触」や、「身体的距離の確保」「通信環境の充実」などの感染症対策にも取り組む。

 なお、同事業は都市再生特別措置法の規定に基づき、19年12月付けで国土交通省の民間都市再生事業計画にも認定されている。これにより事業者は、都市再生特別措置法に基づく金融支援のほか、租税特別措置法および地方税法に基づく税制上の特例措置などを受けることも可能となる。

  

 おしゃれなカフェやショップなどが立ち並び、これまではやや雑多な雰囲気が魅力の若者の集うファッションや音楽のまちというイメージが強かった大名エリア。そこに、九州初進出のラグジュアリーホテル「ザ・リッツ・カールトン」が開業し、それに付随して高級志向の各種店舗などの進出も誘発されれば、エリア全体でジェントリフィケーション(Gentrification/都市の富裕化・高級化)が進んでくることも予想される。これまでとは違う新たな属性の付加は、エリアの魅力向上にとって、吉と出るか、凶と出るのか――。

 その考察の前に、まずは大名エリアの歴史と概要からたどってみたい。

大名エリア 地図

【坂田 憲治】

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