2024年06月23日( 日 )

国交省が不動産IDルールの検討開始、22年度からの順次運用開始を目指す

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不動産ID、入手できる 物件情報の整備が不可欠

(株)シーラ 代表取締役 湯藤 善行 氏

運用体制を明確にすべき

(株)シーラ 代表取締役 湯藤 善行 氏
(株)シーラ
代表取締役 湯藤 善行 氏

 不動産IDの整備により、物件情報を入手しやすくなり便利になることが期待される。一方、不動産IDを付けるだけでは不動産業界は大きく変わらないため、不動産IDに付随してどこまで詳しい物件情報を入手できるようになるかが重要だ。

 まず、物件の不動産IDを簡単に調べられる仕組みが必要だ。不動産IDは住居表示に紐づけて、Googleマップなどのネット上の地図から物件のある場所を見れば不動産IDがわかる方法などが便利だろう。不動産IDは、新たに付けるコストや手間が国の負担となるため、すでに使われている登記識別情報通知(権利書)の番号を法律や技術面で整備して安全に利用してはどうかと考えている。東京都内を中心とした不動産の売買、賃貸、開発では、表記の揺れの問題はほぼなく、物件情報を調べるうえで住所から検索すれば困ることはないため、不動産IDを新たに付ける必要をそこまで感じていないことも理由だ。

 また、不動産IDの利用を始めてからも、国がどのように運用していくかというアイデアを明確にして利用を義務化しなければ、業界内で足並みがそろわず、マイナンバー制度と同じように利用が広がらないことが懸念される。国交省が不動産IDポータルサイトを公開するなど、具体的に方法を示さなければ、業界は変わらない。また、事業者だけでなく、消費者も不動産IDに紐づいた情報を見られるようにしなければ、せっかく整備しても適正価格でない不動産取引や不正は減らないだろう。

適正価格取引などに期待

 米国のMLSのように、建設費用や売買価格、取引実績、メンテナンス、賃貸物件の管理情報などの過去の情報を、1つのデータベースから不動産IDで遡れるようになれば、業務を効率化できる。また、ブラックボックス化している物件情報が公開されるようになれば、適正価格で売買されるようになるため、お客さまを抱え込む取引が減り、ビジネスのかたちが変わる。そうなると情報や知識が豊富で、お客さまから信頼を得られる企業が伸びるだろう。
 また、都市開発・整備情報など行政の情報に不動産IDを紐づけると、鉄道会社や道路公団の開発で沿線や沿路の不動産価値を査定しやすくなる。不動産IDを活用した不動産DX化が進めば、行政文書や身分証明書を偽造しにくくなるため、目視によるアナログな本人確認が原因となっている地面師などの事件も起こりにくくなることが期待される。

【文・構成:石井 ゆかり】

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