2022年05月24日( 火 )
by データ・マックス

最近耳にする「ウェブ3.0」とは(後)

日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

そもそも「ウェブ3.0」とは

インターネット イメージ    「ウェブ3.0」とは現在の課題を解決するための次世代のインターネットであり、ブロックチェーン上に存在する。分散型のネットワークを基礎としているため、フェイスブックやGoogleのように誰かにコントロールされることはない。すなわち、ビッグ・テック企業のプラットフォームから支配力を奪い、オンライン上のパワーを均等に分配することを目指しているので、1つの組織がインターネットを支配するようなことはなくなる。政府や特定の企業に統制されることなく、自由にコンテンツを制作・利用できるようになったり、トークンが配分されたりすることによって、ユーザーに新しい収益が生まれる仕組みである。

 それでは、「ウェブ3.0」と名付けられるようになった流れを見てみよう。最初のバージョンのインターネットは、1990年代後半に登場。ホームページとリンクの集まりから構成されていた。「ウェブ1.0」と呼ばれ、ホームページに書かれているものを読んだり、他の人が閲覧できたりするなど、基本的なコンテンツ掲載が全てだった。

 「ウェブ1.0」ではユーザーが一方的にコンテンツを閲覧することしかできなかった。次に登場したのが「ウェブ2.0」で、ホームページを閲覧するだけではなく、ファイルを開いて編集できるようになった。

 「ウェブ2.0」では、ユーザーも参加して内容を書き込んだりできるようになった。ビッグ・テック企業は、そのコンテンツを使って広告収入や手数料収入を生んだ。「ウェブ2.0」の代表的な企業にYouTubeがある。しかし「ウェブ2.0」は情報の統制力が個人にないだけでなく、コンテンツ生成に寄与した個人ユーザーに何の報酬も発生しないという点が課題だ。ところが、「ウェブ3.0」はユーザーも自分が作成したコンテンツの価値配分に参加することができるし、ひいてはプラットフォーム企業の運営にも参加できる。

 最近話題になっているNFTゲームなども「ウェブ3.0」だ。その他、アート作品のNFT化も話題となっている。現在実物の美術作品の世界市場規模は1兆7,000億ドルと推定されているが、NFT作品の市場規模は、まだ140億ドル(21年3月時点)に過ぎない。

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 NFT美術市場は世界の美術作品市場の1%しか占めておらず、今後NFT作品の市場規模は100倍以上に成長する可能性を秘めている。したがって、米国の投資会社などでも「ウェブ3.0」に注目が集まっており、ブロックチェーン、メタバース、NFTなどとともに今後成長する分野として多額の資金が投資されている。「ウェブ3.0」の注目企業としてはエヌビディア、IBM,ギットハブ(GitHub)などが挙げられる。

「ウェブ3.0」への批判

 しかし、「ウェブ3.0」を批判する声もあがっている。その代表的な人物はテスラの最高経営責任者であるイーロン・マスク氏やツイッターの元CEOであるジャック・ドーシー氏などである。
 「ウェブ3.0」はマーケティング用語に過ぎず、理想に掲げている分散型やビッグ・テック企業の支配から逃れられるというのは幻想に過ぎないという批判である。しかし、それらの問題を抱えているにも関わらず、「ウェブ3.0」には多くの可能性が秘められているのも事実で、推移を見極めながら時代の流れに対応していくのが良いだろう。
 実際、ブロックチェーン技術をもっている企業を中心に大きな投資も行われている。「ウェブ3.0」の発展はメタバースの発展をもたらし、仮想空間のなかで、もっと自由に情報交換ができる日が到来するかもしれない。「ウェブ3.0」が実現すると、個人情報を自分で管理できるようになったり、ハッキングされにくくなったり、ユーザー個人も収益を得たり、企業の運営に参加できたりする道が開かれるかもしれない。
 「ウェブ3.0」が成功することで、ビッグ・テック企業のみに利益が集まるという現在のインターネットの弊害を克服してほしい。そして、もっと自由で、公平で、進んだインターネット時代が到来することを望んでやまない。

(了)

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