2024年05月04日( 土 )

JT九州工場閉鎖で筑紫野どう変わる?(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
JT九州工場
JT九州工場

JT九州工場閉鎖の要因

 JT九州工場は1986年3月の操業開始以降、その広大な敷地と規模から筑紫野市における働き場の“顔”ともいえる存在だった。では、なぜ閉鎖に至ったのだろうか。
 同社が21年2月9日に発表したプレスリリースによれば、たばこ市場のニーズの変化と需要停滞が要因の1つとされている。19年1月から施行された改正健康増進法の影響も大きく、喫煙できる環境の制限や喫煙に対する世間の声の高まりなどが需要を大きく減退させた。また、同様に高温加熱型の加熱式たばこのニーズが高まったことも要因となっている。JT九州工場では主に自社ブランドである「セブンスター」「ナチュラル アメリカンスピリット」「Ploom S 専用たばこスティック」などの銘柄を製造(20年度実績:約87億本)していたが、その多くが紙タバコだった。

同社代表取締役・寺畠正道氏は、「過去数年にわたる事業量の減少や不確実性が⾼まる事業環境を踏まえ、厳しい決断を含む各種施策の実⾏を決定した」と発表している。
 また、同工場のほかに九州ではJT南九州地方原料本部(宮崎県都城市)、子会社である日本フィルター工業(株)(以下、JFT)の田川工場(福岡県田川市)の閉鎖も決定している。これにともない、同社は社員1,000人規模の希望退職者の募集を実施するとともに、JT九州工場およびJFT田川工場においては退職勧奨を実施すると発表した。

 JT九州工場の閉鎖を目前に控えた22年2月までに、筑紫野市民および企業経営者らに話を聞いた。「工場がなくなることは寂しい」「知人に工場関係者がおり、雇用について心配している」といった声がある一方、「工場がなくなったら、その後に何ができるのか気になる」「周辺の道路で渋滞がなくなるのでは」という声も聞かれた。

 JT九州工場は、16万5,886m2もの広大な敷地面積を有しており、従業員は231名(20年12月現在)。これほどの土地を占有する工場が閉鎖するとなれば、その跡地活用について気になるのは自然だろう。

 取材を行った結果、筑紫野市民は主に商業施設、工業施設、物流施設、公共施設、住宅地の可能性を考えているようだ。そこで現在の筑紫野市において項目ごとに比較しつつ、考察を行っていく。

【麓 由哉】

(後)

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事