JT九州工場閉鎖で筑紫野どう変わる?(前)
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筑紫野市の日本たばこ産業(株)(以下、JT)九州工場は、雇用創出など地域社会に相応の恩恵をもたらしてきた。JT広報によれば、工場跡地の利用(売却、自社利用含む)方針については、未定とのこと。筑紫野市および九州工場の概要をまとめ、同工場跡地に対する筑紫野市民や企業経営者の声とともに、変わりゆく筑紫野市について考察する。
「筑紫野市」誕生の歴史
JT九州工場跡地の考察の前に一度、筑紫野市の歴史と現況を振り返ってみよう。筑紫野市は福岡市から南に約15km、久留米市から北に約20kmの地点にあり、両市の中間に位置することから、福岡平野と筑後平野の接点として、太古から交通の要衝として多くの物や人々が行き交う物流拠点の役割を担ってきた。また、江戸期には、九州最大の幹線道路とされる長崎街道や日田街道、薩摩街道が通り、これら3街道にはそれぞれ山家宿、原田宿、二日市宿の3つの宿場が置かれていた。1つの自治体に3本の街道が通り、3つの宿が置かれるのは非常に珍しく、名実ともに福岡を代表する交流拠点であったことがうかがえる。
1955年4月、昭和の大合併により、二日市町・山口村・筑紫村・御笠村・山家村が合併し、筑紫郡筑紫野町が発足。その後、72年4月の市制施行により「筑紫野市」となった。
ちなみに平成の大合併時には、同市と歴史的にも縁のある太宰府市との合併が議論されていたが、当事者間でどちらの市名を残すのかという問題に折り合いがつかなかった経緯がある。また、隣接している朝倉郡夜須町(現・朝倉郡筑前町)との合併も議論されたが、住民サービスや財政状況、都市基盤整備等の相違を理由に「合併は困難である」として、実現はしなかった。
【麓 由哉】
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