2024年05月05日( 日 )

産業力の強化で持続可能な古賀市へ

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古賀市長 田辺 一城 氏

続々と開発進む工業団地、利便性高い市街地形成へ

古賀市長 田辺 一城 氏
古賀市長 田辺 一城 氏

 ──市内では、また新たな工業団地の計画があるとお聞きしています。

 田辺 ありがたいことに、本市に「進出したい」「拠点を構えたい」という意向を示していただいている企業さまが、まだまだ多くいらっしゃいます。そこで、そうした企業さまの受け皿をつくって市の産業力をさらに強化するために、筑紫野古賀線に近接している「青柳大内田地区」の開発に向けて地区計画を設定する手続きをスタートしました。ここは、市の農産物直売所「コスモス広場」から九州自動車道を挟んだ反対側に位置する、もともとは荒廃農地だった場所です。計画地の敷地面積は約18.9haあり、流通・工業系を中心に産業振興を図るA地区(約16.6ha)と、公園や緑地の保全を図るB地区(約2.3ha)に区分して、それぞれにふさわしい適正な土地利用を誘導しながら、周辺環境と調和した市街地の形成を図ろうと考えています。都市計画審議会などを経たうえで、6月の地区計画決定告示を目指しています。

 また、九州自動車道を挟んで青柳大内田地区の反対側に位置する「青柳釜田地区」では、先ほどのコスモス広場や古賀グリーンパーク(総合健康文化公園)に隣接している立地条件を生かして、観光や産業振興の拠点機能の充実を図っていこうと考えています。ここは、工業系土地利用をはじめとして、併設店舗やレジャー施設などの誘導に取り組む区域と位置付けており、昨年3月に立地協定を締結した(株)ピエトロさまの新工場も、この青柳釜田地区にできます。

 ほかに昨年6月には、「今在家(いまざいけ)地区」の約21.1haを市街化区域に編入し、用途地域と地区計画を設定する都市計画決定を行いました。こちらは、隣接する既存の古賀工業団地を約20年ぶりに大幅拡張することで、市の「モノづくりの力」をさらに強化していくためのものです。

 さらに、古賀ICに近接しており、その利便性を生かして工場・物流施設・卸売業等の立地に適した「新原高木(しんばるたかぎ)地区」における開発計画もあり、地元の皆さんの機運はさらに高まってきています。市行政としても、この機会を逃すことなく、次のステップにつなげていけるように、開発に向けた動きを具体化していきたいと思います。

 ──最後に、古賀市内での今後の都市計画などについてお聞かせください。

 田辺 本市では22年4月から、これから10年間の古賀市のまちづくりの指針となる、市の最上位計画である「第5次古賀市総合計画」がスタートします。

 この総合計画のなかで、土地利用構想について定めている箇所があります。まず産業用地については、広域的交通の利便性を活かして産業を集積し、都市の活力や賑わいをより高めていくため、筑紫野古賀線沿線と国道3号の間および古賀IC周辺の適地において、産業用地への土地利用転換を計画的に進めて、企業立地を促進していくとしています。やはり企業誘致などを進めることで、自治体にとっての税収増や地域の雇用増のほか、働く場の確保による定住促進にもつながります。古賀市の活力や賑わいを創出していくためにも、地域経済を支える産業力の強化の受け皿となる産業用地の開発は、重要な事項の1つです。

 また、本市のまちづくりにおける“一丁目一番地”に掲げている中心市街地のJR古賀駅周辺の活性化に向けては、住宅・商業・医療・教育・文化など賑わいを創出する多様な機能を集積しながら、市の玄関口に相応しい魅力を高め、その効果が市全体に波及するように取り組んでいきます。

 そうした産業用地や中心市街地の開発を進める一方で、効率的・効果的な都市機能や居住機能の立地適正化を推進し、すべての市民が安全・安心な生活を送ることができるコンパクトで利便性の高い市街地の形成を推進していかなければなりません。とはいえ、人口減少や少子高齢化社会の到来は、本市においてもそう遠くはない未来の話です。そのため、将来的な人口減少などにも対応した持続可能なまちの形成を推進するためにも、市街化調整区域外における大規模な住宅開発は見合わせていく方針です。

 今後も、主権者である市民の皆さまとの対話・交流を密に図りながら、総合計画のなかの将来像で掲げている「人がまちを支え、まちが産業を支え、産業が人を支え、みんなが育つ、未来に向かって育ち続けるまち」を目指して、持続可能な古賀市のまちづくりを進めていきたいと思います。

(了)

【坂田 憲治】


<プロフィール>
田辺 一城
(たなべ・かずき)
1980年5月生まれ、古賀市出身。福岡県立福岡高等学校、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、2003年毎日新聞社入社。11年4月福岡県議会議員に初当選し、2期務める。18年12月古賀市長に就任。現在1期目。

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