「棲みごこち」と商業はどこまで混ざるか【1】 人口減少下にあるべき商業とは(前)
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人口減少先進国・日本
日本は世界に先駆けて、人口が自然減となった。いわば人口減少先進国だ。中国は一人っ子政策の影響で、2016年から人口減少社会に突入し、減少ペースは日本よりも急激なものになると見られている。もし、日本が人口減少社会における新たなビジョンを示さなければ、確実に他国がそのビジョンを示すことになるだろう。ドイツやロシアも今後、人口減少社会となっていく。北欧とイギリスは以前から人口が横ばいか微減だったが、日本ほど急激に減少しているわけではない。
アメリカを除く先進国はほぼ例外なく、人口減少社会を経験することになる。そのとき、日本から世界のモデルとなるような事例を発信することができるかどうかは、日本におけるそれらの先進地が、どう立ち回るかにかかっている。つまり、日本の中山間離島地域や地方の中小都市が、限界集落やシャッター商店街に対してどのようなビジョンを示すかが重要なのだ。
限界集落、基幹集落、地方、小都市、中都市、大都市というヒエラルキーを、インターネットが崩した。今は末端から大都市へ、いきなり物を売れるようになった。世界中を均質化させるグローバリゼーションが進んだからこそ、ローカルが評価され、ローカルな特色をもったものだからこそ、グローバルにも発信できるという側面も顕在化してきた。先駆的なのは大都市だろうか、それとも人口減少先進地である地方だろうか。私たちは地域の生き残りをかけた構想とともに、ある意味で世界のグランドデザインの青写真を描かなければならないフェーズに入っているのだ。
<プロフィール>
松岡 秀樹(まつおか・ひでき)
インテリアデザイナー/ディレクター
1978年、山口県生まれ。大学の建築学科を卒業後、店舗設計・商品開発・ブランディングを通して商業デザインを学ぶ。大手内装設計施工会社で全国の商業施設の店舗デザインを手がけ、現在は住空間デザインを中心に福岡市で活動中。メインテーマは「教育」「デザイン」「ビジネス」。21年12月には丹青社が主催する「次世代アイデアコンテスト2021」で最優秀賞を受賞した。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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