2024年03月03日( 日 )

筑後川本格改修100周年、レジリエンス強化へ

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国土交通省 九州地方整備局
筑後川河川事務所
所長 吉田 大 氏

国土交通省 九州地方整備局 筑後川河川事務所 所長 吉田 大 氏

 国による本格的な筑後川の治水対策は、来年で開始から100周年を迎える。近年、筑後川流域では洪水被害が頻発しているが、筑後川河川事務所の吉田大所長は、同流域は日常的には豊かな恵みをもたらす地域であり、リスクのみならず恵みも認識することの大切さを強調する。そして100周年を機に、流域治水の考えに基づいて、住民を含めた広範な関係者と連携した地域づくりへの意気込みを語る。

筑後川の恵みとリスク

 ──筑後川河川事務所は、来年で設立100周年を迎えますね。

 吉田 1884(明治17)年に前身となる内務省筑後川出張所が設立され、治水対策を始めたのが筑後川河川事務所の始まりです。その後、1921(大正10)年の大水害を受けて、国は抜本的な治水対策が必要であると考え、23年に筑後川改修事務所が内務省の組織として設置され、本格的な改修工事に携わるようになりました。その後、名称と所属を変更しながら現在に至ります。

筑後川改修100年物語    筑後川の流域は、熊本、大分、佐賀、福岡の4県におよび、非常に豊かな地域です。「川の365日」(洪水、渇水時等の特別な視点だけでなく、普段の川の利活用、維持管理および環境等を含め総合的な視点から河川に着目する考え方)と言いますが、洪水に見舞われるのは1年のうち1・2日~1週間であり、350日は恵みをもたらしてくれるものです。日常的には河川を利活用していただくことを考えつつ、災害の予防、復旧のための事業に力を入れていくことが大事だと考えています。

 そのため、本格改修100周年を機に、地域住民の皆さまに筑後川の恵みを再確認してもらうとともに、「流域治水」などの防災の重要性について理解を深めてもらえるような取り組みを進めたいと思います。事務所からさまざまな情報を発信し、機運を盛り上げつつ、地域の皆さんや関係する学識者の方々と連携するとともに、各自治体や企業、NPO、(一社)北部九州河川利用協会らとのコラボも行っていきます。

治水は数十年にわたる事業

 ──治水事業についてお聞きします。

 吉田 筑後川では古来より、2~3年に1度くらいの頻度で洪水が発生していますが、大洪水としては1953年の大洪水が挙げられます。当事務所ではこの大洪水を受け、河川の拡幅、堤防の設置、湾曲した川の流れをショートカットする捷水路工事などを進めてきました。河川の拡幅は、架かっている橋を長いものに架け替える必要があるうえ、後背地の土地利用の再編をともなうケースもあり、完成までに20~30年を要することも珍しくありません。

 20年7月の「令和2年7月豪雨」の際には、53年の大洪水以来の非常に大きな洪水が発生しました。このときの雨量は戦後で最大の被害をもたらした53年の大洪水に相当し、上流の大分県、うきは市、朝倉市では過去最大の水位を記録したほどです。ただ、内水被害は発生したものの、53年の大洪水のように本川の堤防が決壊するような大規模な被害は発生しませんでした。これは、これまでの治水対策が効果を上げたものと思います。

 しかし、地球温暖化の影響により、近年は想定を超える規模の豪雨・洪水が発生し、また今後さらに激甚化すると言われています。筑後川流域では4年連続で内水被害が発生し、整備が遅れている支川もあり、引き続き必要な対策を進めていきます。

【茅野 雅弘】


<プロフィール>
吉田  大
(よしだ・ひろし)
1969年福井県生まれ。京都大学大学院修了(土木工学専攻)。94年建設省(現・国土交通省)入省。内閣府沖縄総合事務局北部ダム事務所長、国土交通省水管理・国土保全局河川環境課流水管理室水防企画官、中国地方整備局企画部企画調整官、JR東日本建設工事部次長、内閣官房国土強靱化推進室企画官、(独)水資源機構ダム事業部事業課長を経て、21年7月より現職。

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