2022年08月14日( 日 )
by データ・マックス

カジノ反対派の松沢議員を推進派の吉村知事が応援~二枚舌の維新

吉村洋文・大阪府知事(写真右)と松沢成文氏(写真左)
松沢成文氏(写真左)と吉村洋文・大阪府知事(写真右)

 「日本維新の会」副代表の吉村洋文・大阪府知事が6月4日、横浜市内で街頭演説。参院選神奈川選挙区予定候補の松沢成文・元神奈川県知事(前参院議員)への支持を訴えた。「横浜はおしゃれ」と街並みをほめる一方で、学費無料化などの維新大阪府政の実績もアピールしたことから、街宣後、吉村氏を直撃して「教育費を倍増した方がいいのではないか。防衛費倍増ではなくて、今の話だと。そっちのほうが自民党との差が出るのではないか」と声かけ質問をしたが、無言のまま。

 「(横浜市長選では)カジノ取りやめの松沢さんをなぜ維新が応援するのか。矛盾しているのではないか」とも聞いたが、一言も発することなくワゴン車に乗り込んで走り去った。

街頭演説を行う松沢成文氏
街頭演説を行う松沢成文氏

    維新の参院議員だった松沢氏は2021年8月の横浜市長選にカジノ取り止めを掲げて立候補したものの、立憲民主党や共産党などが支援した山中竹春候補(現市長)に及ばず落選した。当時も、カジノ誘致推進の維新国会議員が急にカジノ反対に転向したことに違和感を抱いたが、今回は再び維新の参院選神奈川選挙区予定候補となって、カジノ推進の吉村副代表の応援を受けたのだ。「変節漢」とはこのことだが、松沢氏も直撃してコロコロと立場を変えた理由を聞いてみた。

 ──(横浜)市長選でカジノ取りやめを訴えて、維新はカジノ推進ではないか。

 松沢氏 地方分権政党だから大阪は大阪の経済成長を目指して(カジノ誘致)をやるでしょう。横浜は(カジノを)止めるという決断で、それは合意が取れていますから。

 ──(先ほどの街宣では)「賭博では儲けない」と言っていた。

 松沢氏 横浜はね、英語という切り札があるので(カジノを含むIR予定地に英語関連のテーマパークをつくる構想を街宣で訴えていた)、それを使わないで博打に走るから僕は(横浜カジノ誘致に)反対した。

 ──大阪は英語に代わる切り札はないのか、カジノしか。

 松沢氏 厳しいのかな。昔からやってきているから。まあ、これからいろいろ議論があると思います。大阪は大阪で(カジノ誘致を公約に掲げて)選挙をやって、それで認めてもらっているからね。

 たしかに維新は大阪府知事選や市長選や総選挙でカジノ(IR)誘致を掲げて勝利してきたが、その時点では公金790億円投入(軟弱地盤改良や汚染対策)は有権者に知らされていなかった。「改めてカジノ誘致の賛否を問うべきだ」ということで住民投票を求める署名活動が始まり、大阪府議会にはかるための必要署名数をクリアしたばかりだった。しかし維新代表の松井一郎・大阪市長も維新副代表の吉村知事も住民投票不要論を繰り返し主張していた。これについても聞いてみた。

 ──住民投票をやるべきだと(署名運動で民意が示された)。

 松沢氏 いろいろ議論が出てくるでしょうね。

 ──「住民投票はやるべき」というお考えですよね。

 松沢氏 住民投票? 選挙で何度も公約にして(維新が)勝っているから、そこは議論があると思いますね。

 ──(軟弱地盤改良などで)790億円の公的負担の話が後から出てきたのではないか。

 松沢氏 そうそう。そういうことを含めて大阪で議論をするといいと思う。僕らが外からいうのではなくて。

 ──維新の会としては。

 松沢氏 維新の会としてどうではなくて。

 ──「民意を問う」というのが(地方分権を掲げる)維新の原点ではないのか。

 松沢氏 それは大阪が決断すること。「横浜はやらない」という決断をした。それを仕方がないと認めてくれたのだから。

 ──吉村さんは林文子(前・横浜)市長と同じような考えだと、民意を無視してカジノを進めると。

 松沢氏 それは大阪が決めると。横浜は認めてもらったのだから。

カジノ反対のぼり    二枚舌とはこのことではないか。横浜市議会はカジノ誘致の賛否を問う住民投票条例を否決。民意を示す場を失った市民は横浜市長選でカジノ反対の市長を誕生させた。このときに落選したものの、現市長と同じカジノ取り止めを訴えたのが松沢氏だった。当然、「大阪でもカジノ反対の民意を尊重すべき」という考えと思いきや、「横浜は横浜、大阪は大阪」という首尾一貫しない立場を取っていたのだ。民意軽視でもとにかく”吉村人気”にあやかって当選しようという狙いが透けてみえるようだったのだ。

 維新の二枚舌は、防衛費倍増でも同じだった。岸田政権と足並みをそろえて防衛費倍増を公約に掲げる一方、横浜街宣で吉村氏が声高に訴えたのは教育関連予算のことだった。このことについて吉村氏は無回答だったので、松沢氏にも「防衛費倍増ではなくて教育費倍増を維新は訴えた方がいいのではないか。防衛費倍増の財源はあるのか。どうするのか」と聞くと、松沢氏は「成長で生み出すしかないね」と回答。そこで「そんな成長をするネタはあるのか」と再質問をしたが、松沢氏は無言のまま、支持者とのグータッチを始めてしまった。

 しかし日本は経済音痴の自民党政権下で、先進国最低の低成長国に落ちぶれた(Net IB-News「新潟県知事選『悪夢の10年間』をどう取り戻すか」参照)。しかも大阪の成長率は全国平均以下(れいわ新選組の山本太郎代表や大石晃子衆院議員がデータを基に指摘)。

 防衛費倍増の財源を維新が具体的に示さない限り、まったく説得力はなく、消費税増税かさらなる国債発行を招く恐れが極めて高いのだ。威勢は良くても中身は支離滅裂で二枚舌的な維新の主張に対しては、十分なチェックが不可欠のようなのだ。

【ジャーナリスト/横田 一】

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