2024年04月19日( 金 )

「糸島にシリコンバレーを」糸島SVI構想

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九大を核としたまちづくり

 糸島市の九大を核としたまちづくりは、市の将来人口を確保するためにも必要不可欠といえる。22年現在、1,500人を超える九大生が糸島市に居住しているが、その多くが卒業後は就職などを理由に市外へと出ていってしまう。九州における知の最高峰である九大で知見を得た、九大生の地元定着率を向上させるためにも、優秀な人材がそのノウハウを生かすことのできる働く場を提供する必要がある。

 もちろん働く場を新たに設けることは、九大生のみに恩恵がある話ではない。糸島で生まれ育った地元の人間が、地元で働き、地元で家庭を築くといったように、糸島でライフプランを立てられるようにするためにも、学術研究都市としてのまちづくりを進めることには意義がある。

 SVI構想の計画地周辺では、地区計画も進行している。たとえば、志摩松隈地内の松隈行合地区の地区計画(面積約4.4ha)は、地域コミュニティを維持するために、新居住者の受け入れや受け皿となる住宅整備など、既存集落と調和する格好での市街地形成が目標として掲げられている。

 また、志摩馬場、志摩松隈の各一部における馬場地区の地区計画(面積約16.2ha)では、九大に隣接する市街化調整区域に位置し、既存集落の中央を学園通線西周りルートが縦横断する地区であることから、その交通利便性を生かし、学生や教職員の住居などの立地誘導が進められている。将来的に、自然環境と集落環境が調和した、九大との連携地域としての発展が見込まれる。

 このように、九大を核とした学術研究都市への脱皮に向けて、土台づくりが進められてはいるものの、糸島の魅力でもある豊かな自然をはじめとした地域特性を尊重したうえで進められており、目指しているのが地域住民による「自主・自立・自考」も踏まえたうえでの、地域一帯となったまちづくりであることがうかがい知れる。

市民1人ひとりが誇りをもてるまちへ

 前号の特集記事(まちづくりvol.52「大学のまち福岡」/9月末発刊)で紹介した地元不動産会社の声にもあったが、九大に関連したまちづくりとしては、「九大新町研究開発次世代拠点」など、福岡市西区側で大型の開発が先行しており、糸島市側では九大効果を実感できている人は決して多いとはいえない。

 SVI構想は、こうした体感ギャップを埋める起爆剤として期待されている。九大の知的資源をベースにした新しい技術などを、実用化・事業化につなげるための企業や研究所の立地を促進することで、地域内外の研究者や民間事業者、学生、さらには地元住民が交流する知的創造・研究交流拠点が誕生すれば、それらは間違いなく将来の糸島の強みとなる。

 糸島に進出済みの水素エネルギー製品研究試験センターや社会システム実証センター、三次元半導体研究センターとの連携も進むだろう。SVI構想の実現に向けた一歩が、旧清掃センターを「はじまりの地」として踏み出された。国内外の研究者や企業によって、糸島が世界に新たな潮流を生み出す場所になっていくことを期待したい。

【代 源太朗】

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