2024年06月14日( 金 )

虎ノ門再開発が佳境 超高層ビルが続々(前)

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森ビルの2大再開発 虎ノ門・麻布台

 国内屈指の不動産デベロッパー・森ビル(株)は、再開発を進める「虎ノ門ヒルズエリア」において、虎ノ門ヒルズ 森タワー(2014年)、虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー(20年)、虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー(22年1月)を続々と完成させてきた。20年6月には、桜田通りを挟んだ西側に日比谷線・虎ノ門ヒルズ駅が開業。さらに、同駅との一体開発プロジェクト・虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(以下、ステーションタワー)が今年7月22日に上棟。23年7月の竣工に向けて建設工事が進められている。

 地上49階建・高さ約266mの超高層タワーとなるステーションタワーが完成すれば、虎ノ門ヒルズエリアは区域面積約7.5ha、延床面積約80万m²に拡大する。国際水準のオフィス、住宅、ホテル、商業施設、インキュベーションセンター、交通インフラ、緑地などの都市機能を備えた虎ノ門ヒルズエリアは、「新たなビジネスやイノベーションを次々と生み出すことで、国際都市・東京のさらなる磁力強化を牽引していきます」と森ビルも意気込むビッグプロジェクトだ。森タワーを除く3つのプロジェクトは、いずれも国家戦略特区事業に指定されている。

 虎ノ門ヒルズ駅の開業やビジネスタワーに整備されたBRTの発着場など、再開発にともなってインフラ整備も進められてきた。12月18日には、東京都が整備を進めている骨格幹線道路・東京都市計画道路環状第2号線のうち、中央区築地5丁目から港区新橋4丁目までの約1.4kmの区間の交通開放が予定されており、ついに環状第2号線の全線開通が実現することなる。

 「国際新都心・グローバルビジネスセンター」を掲げる虎ノ門ヒルズエリアと同時に、森ビルが隣接エリアで進める大型再開発が、虎ノ門・麻布台プロジェクトだ。約6,000m²におよぶ中央広場を街の中心に据え、総貸室面積21万3,900m²のオフィス、「アマン」とのパートナーシップによる日本初の都市型レジデンス「アマンレジデンス東京」、アマンの姉妹ブランドで日本初進出のラグジュアリーホテル「ジャヌ東京」、インターナショナルスクール、商業施設、文化施設などが整備される。上層にアマンレジデンス東京、中層にオフィス、低層に商業・医療施設などが入るA街区のビルの高さは約330mと、完成すれば日本一となる。

 森ビルがこれまでのヒルズで培ったすべてを注ぎ込んだ「ヒルズの未来形」として、「まちづくり協議会」の設立から30年を費やした同社の再開発事業が23年、ついに完成を迎えることとなる。

虎ノ門エリア オフィス需要

 かつて虎ノ門エリアは、小規模なビルが密集した「何の変哲もない」東京の街だった。それが森ビルによる虎ノ門ヒルズプロジェクトにより、大きく姿を変えていった。古くから虎ノ門に本社を構える東洋不動産(株)・取締役執行役員・塩島氏は、「虎ノ門ヒルズプロジェクトや容積緩和の影響もあり、本社周辺のビルも多くが建替えられていきました」と話す。同社の本社ビル・東洋不動産虎ノ門ビルも耐震補強こそ行っているものの、築60年を目前にしており、将来的な建替えに向けて動き出す可能性もありそうだ。

 エリア周辺のオフィス市況については、「神谷町で当社が開発したオフィスビルは、コロナ禍に入ってすぐに完成を迎えました。神谷町は外資テナントが多いため、リーシングには2年を要しましたが、竣工後1年で満床とすることができました。ご存知のように、都心のオフィス空室率は高止まりしておりますが、反面で売買市場は依然として活況です」(塩島氏)といい、投資用だけでなく自社利用や償却資産としてのビル取得は活発に行われているようだ。

 虎ノ門でオフィス仲介を手がける地場業者は、「大きな面積のオフィスはなかなか埋められない状況です。大きなオフィスを借りている企業ほどテレワークに対応できていますので、床が不要になって返却するパターンが多くなっています。小規模オフィス需要は比較的安定していますが、賃料が上がっているかというとそうではありません」と話してくれた。

「100年に一度」 東急グループ再開発

 虎ノ門エリアを代表するデベロッパーが森ビルなら、渋谷駅周辺を代表するデベロッパーは東急グループだろう。「エンタテイメントシティSHIBUYA」と「広域渋谷圏(GreaterSHIBUYA)構想」の2つのビジョンを掲げ、再開発の推進やエリアマネジメントに取り組んできた。エンタテイメントシティSHIBUYAの実現と、都市機能の課題解決を目指して、渋谷ヒカリエ(12年)、渋谷キャスト(17年)、渋谷ストリーム(18年)、渋谷ブリッジ(18年)、渋谷ソラスタ(19年)、渋谷スクランブルスクエア(19年:第Ⅰ期)など再開発事業に取り組んできた。現在進められているのは、渋谷駅桜丘地区(23年竣工予定)、渋谷二丁目17地区(24年竣工予定)、渋谷スクランブルスクエア(27年度開業予定:第Ⅱ期)の3つの再開発プロジェクトだ。

 さらに、東急グループはLVMHグループが設立した不動産開発投資会社・L Catterton Real Estateとともに、東急百貨店本店および隣接するBunkamuraの一体開発を計画している。再開発プロジェクト・「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」は、地上36階・地下4階建、高さ164.8mの複合施設で、施設は「洗練されたライフスタイル」を提案する小売(地下1階~6階)、日本初進出となるコンテンポラリーラグジュアリーブランド「ザ・ハウス・コレクティブ」ホテル(7階、8階、10~15階)、ハイクオリティな都市型居住を実現する賃貸レジデンス(17~34階)で構成される。竣工は27年度の予定。Bunkamuraも大規模改修を経て27年度に営業再開する予定となっている。東急百貨店本店は来年1月末に営業を終了する。

 東急は「渋谷駅街区土地区画整理事業」で、UR(都市再生機構)とともに渋谷駅東口で約4,000㎥の雨水貯留施設の整備も手がけた。渋谷駅は、三方を代々木台地、東渋谷台地、西渋谷台地に囲まれたすり鉢状の地形の谷底にある。降雨時には雨水が溜まりやすく、1999年夏の集中豪雨では、地下街への浸水被害も発生、水害の再発生も懸念されてきた。1時間あたりの降雨量が50mmを超えた場合に取水される仕組みで、超過した雨水は取水管やマンホールを通じて雨水貯留施設に流れ込む。ビルや鉄道などがあり、施工が難しかったが、「100年に一度」といわれる渋谷駅の再開発を契機に整備された。

道玄坂ではPPIH 三菱地所も大規模ビル

 「NHK放送センター」は段階的に全面建替えが行われ、第1期工事では、報道などNHKの心臓部となる延床面積約7万m2、地上9階建の「情報棟」の建設工事が2025年にかけて行われる。28年からは、延床面積約16万m²、地上18階建の「制作事務棟」と市民に広く公開されるスタジオパークなどが入居する延床面積2万m2、地上4階建の「公開棟」が36年にかけて建設される予定。さらに、ドン・キホーテなどを傘下に置く(株)パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、渋谷駅北側の道玄坂2丁目で複合施設「道玄坂通 dogenzaka-dori」の開発を進めている。高さ114.8m、地上28階・地下1階建、延床面積約4万1,877m²、ショップ、オフィス、ホテルなどで構成される大型複合施設で、ホテルは「ホテルインディゴ東京渋谷」となる。開業は23年9月を予定している。

 同じく道玄坂2丁目で進められている再開発が、三菱地所(株)による「道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業」だ。京王井の頭線・渋谷駅直結となる、オフィス、商業、ホテルの大規模複合再開発で、南側にある渋谷マークシティとの接続部分には、地域の交流拠点となる広場・緑道が整備される。三菱地所初の渋谷駅周辺における大規模再開発事業で、22年度の権利変換および解体工事着手、23年度の新築工事着手、26年度の竣工を予定している。

(つづく)

【永上 隼人】

(後)

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