2024年05月13日( 月 )

スポーツと産業創出で描く、育成都市・鳥栖の未来(後)

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鳥栖市長 向門 慶人 氏

 2月19日投開票の鳥栖市長選において、新人で元佐賀県議会議員・向門慶人氏が初当選をはたした。向門新市長は、これまで衆議院議員・山下徳夫氏の秘書を務めた後、鳥栖市議会議員2期および佐賀県議会議員4期務めてきた。その経験を生かして、新たな鳥栖市のまちづくりに取り組む向門新市長に、話を聞いた。

「子育て支援」の拡充と、移住者増のための住宅地開発

 ──人口は微増しています。今後の人口増への対策はどのようにお考えでしょうか。

 向門 さらなる子育て支援の充実を図りたいと考えています。市長就任前は、現在の物価高により小学校の給食費の値上げが決まっていました。その値上げについては、公費で負担することで保護者の方々の負担を据え置きできるように、4月の市議会臨時会に提案して可決されました。財源には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の一部を活用します。

鳥栖市長 向門 慶人 氏    また、少子化の波を止めるためには、3人・4人の子どもを育てる家庭が増えていくことが必要だと思います。しかし、1人育てるためにも、教育費や教材費はもとより塾や習いごとへの月謝など大変費用がかかります。そこで、3人・4人育てても保護者の負担が増えないように、費用面で応援できるまちにしたいです。財源をどれだけ捻出できるか、検討していきます。

 移住者への受け皿づくりも重要です。たしかに近年、人口は微増し続けていますが、住宅地についても十分に用意することができていない状況です。そこで、市街化調整区域の建築制限を一定の条件の下で緩和する「50戸連たん制度」を活用しているところです。まったく住宅がないところに家を建てる場合には、水道や下水道本管などの生活インフラの整備が一から必要となりますが、この制度では既存の生活インフラを活用することができます。

 これまでに指定された区域は、「江島地区」(18年4月10日区域指定)と「養父地区」(23年4月11日区域指定)の2カ所があり、すでに江島地区については宅地開発が進んでおります。今後もこの制度を活用しながら受け皿となる住宅地開発を進め、鳥栖市への移住者が増えることを期待したいですね。

多くのアスリートを輩出、「スポーツのまち」へ

 ──鳥栖市をどのようなまちにしていきたいか、考えをお聞かせください。

 向門 「交通の要衝」としての充実を図るとともに、「スポーツのまち」にしていきたいですね。鳥栖市には、駅前不動産スタジアムを本拠地とするプロサッカーチームのサガン鳥栖と、今年完成したサロンパス®アリーナを本拠地とするプロバレーボールチームの久光スプリングスがあります。2つのプロチームの本拠地があるまちはそう多くないでしょう。それぞれのチームと連携しながら、スポーツを通じたまちづくりを進めていきたいと思います。

 また、鳥栖市は元来、スポーツが盛んなまちです。広島東洋カープの緒方元監督をはじめ、プロ野球選手も多く輩出しています。また、今年2月にスウェーデンで行われたレスリングの国際大会「クリッパン女子国際大会」では、U17日本代表として女子61キロ級に出場した小柴ゆり選手(当時・中学3年生)が優勝しました。彼女は24年のパリオリンピックの選手候補と聞いています。このようにアスリートが育つまちとして、スポーツを前面に出したまちづくりに取り組んでいきたいと思います。

 ──最後に、鳥栖市長として市民へのメッセージをお願いします。

 向門 子どもたちは地域を支える活力であり、鳥栖市の宝であると考えており、先ほど述べたように「子育て支援」を最重要施策としていきます。また子どもだけなく、車の免許を返納されてもミニバスやタクシーの補助券を交付して日常生活に困ることのないよう、高齢者にも優しい政策を進め、すべての市民の皆さまに寄り添う優しいまちづくりを行ってまいります。

 市庁舎も新しく生まれ変わりました。明るく元気な市役所になるよう、私自身が胸襟を開き、オープンな市政運営に務め、全力で使命をはたしていきたいと思っております。

鳥栖市新庁舎
鳥栖市新庁舎

(了)

【内山 義之】


<プロフィール>
向門 慶人
(むかいかど・よしひと)
1971年1月、鳥栖市出身。福岡大学商学部を卒業後、95年に衆議院議員・山下徳夫氏の秘書を経て、2001年に鳥栖市議会議員に当選。市議会議員を2期務め、07年から佐賀県議会議員を4期務める。21年7月には自民党県連幹事長に就く。23年3月に鳥栖市長に就任。趣味は野球、ジョギング、スポーツ観戦。

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