北九州市に聞く 武内新市政の「福北連携」(前)
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北九州市は市制60周年の節目の年となる今年2月20日、武内和久・新市長が誕生した。「人口100万都市の復活」を掲げる武内市政だが、未来への投資のための財源確保や人口減少にどう対処するかの政策のほか、福岡市との「福北連携」についての動向が注目される。武内市長の会見内容や、北九州市への取材から、同市の現在の取り組みや今後の方針をレポートする。
新時代の「福北連携」
2月28日、武内市長は福岡市長・高島宗一郎氏との「トップ会談」を行った。両政令市のトップ会談としては、2011年8月に当時1期目だった高島市長が北橋前市長と実施して以来、実に12年ぶりであったことや、武内市長の就任からわずか1週間で実現したことでも注目を集めた。
トップ会談は北九州市内で開催。まず2人は、昨年2度の火災に見舞われた小倉北区の旦過市場を視察後、小倉城庭園で会談を行った。その後、共同会見を実施し、「福北新時代」を掲げて連携を深めていくことをアピールした。
なお、2月20日の市長就任当日、武内市長は福岡市を表敬訪問している。その際に高島市長は、「武内氏には(民間時代に)福岡市の政策参与として『福岡100』などの福祉戦略で力添えをしてもらっていた。新しい立場でまた一緒にチャレンジできること、連携はうまくできそうだと期待している」と述べていた。
企画調整局総務課
「福北連携」の方向性や目的「福北連携」の具体的な取り組みについては、福岡市が開催する「スタートアップ関係者の交流会」に北九州市が参加することや、「観光情報サイトの連携」「観光・MICE共同誘致」「人材交流」などから着手していくほか、北九州空港と福岡空港の連携を柱とする「物流機能の利活用」なども連携事項として挙がっているとしている。現在、両市の所管部局間において、連携に向けた協議を順次進めているという。
福岡県内の2つの政令市がタッグを組み、九州、ひいては日本の経済を引っ張っていくダブルエンジンとなることを目指しています。それぞれの都市には特徴があり、連携することにより、ノウハウの共有やスケールメリットを生み出すことができます。人の流れ、モノの流れ、経済の流れなどを共有し、互いにWin-Winの関係を築くことで、共存共栄、切磋琢磨していけるように取り組んでいきます。
また、北橋前市長と高島市長会談(11年8月開催)時の両市の共通課題として挙げていた「観光客の集客強化」「暴力団排除への取り組み」「医療支給制度における県費補助の格差是正」においても連携事項の1つとして取り組みを進めており、今後も、両市の所管部局を中心に必要な連携を進めております。
総務局総務課
行財政改革「官民合同チーム」とは4月19日に発足した「官民合同チーム」は、本務6名、兼務14名、民間人材(行財政改革推進員)2名の計22名体制で構成される。民間視点を取り入れることで、公務組織では気付きにくい点や、企業経営の観点から改善可能な点などについての気付きを得ているようだ。まず、今回の行財政改革の取り組みを、市政運営そのものの改革につなげるため、「市政変革の基本方針(たたき台)」を公表。(1)「予算事務事業の棚卸し」、(2)「主要政策の経営分析」、(3)「組織体制(ガバナンスメカニズム)の導入」──の3つのステップで市政変革を進めていく計画だという。
企業や投資を呼び込むための具体的な施策については、まず成長著しいITや半導体などの次世代産業の誘致に力を入れていくとした。加えて、北九州空港の滑走路3,000mへの延長による物流拠点化、響灘地区における洋上風力発電の総合拠点化に向けた取り組みをはじめ、本市の経済成長を力強く牽引する大型プロジェクトを推進するという。さらに、スタートアップの創出にも取り組むなど、好循環を生み出すまち、多くの投資が集まるまちを目指すとした。
企画調整局
公共施設の老朽化北九州市が所管する公共の建物総数は、市営住宅・学校・その他の建築物含めて全体で約6,800棟あり、そのうち大規模改修が必要とされる築30年以上経っている施設が全体の約6割を占めているという。そのため北九州市は、16年2月に「北九州市公共施設マネジメント実行計画」を策定し、「今後40年間で公共施設の保有量を約20%削減する」という目標を掲げていた。21年度までの最初の5年間では、目標(約3万m2削減)を達成したが、10年後には多くの公共施設が耐用年数を迎えることや、公共施設の統廃合については市民との合意形成に時間がかかることが課題となっていた。実行計画は公共施設を取り巻く環境の変化に対応するため、10年ごとに見直すという。
今年4月以降、小中学校校舎の外壁の落下や、若戸大橋の金属片の落下、市営住宅の外壁コンクリートの落下などの事故が相次いだ。この点について武内市長は、「公共施設の経過年数など市民にわかりやすい情報発信と予防保全、必要な公共施設を安全に保有し続けることができるよう、公共施設マネジメントを着実に推進していく」としている。
(つづく)
【松本 悠子】
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