2024年06月20日( 木 )

日本の防衛産業はどこに活路を見出せるのか?

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
 今回は、11月17日付の記事を紹介する。

自衛隊 イメージ    日本はロシア、朝鮮半島、中国の最前線に位置し、北方領土、尖閣諸島、台湾、南シナ海などをめぐる問題に直面しています。しかも、周辺国は核兵器を含む大規模な軍事力を有していることは無視できません。そのため、日本は日米同盟と米国の核抑止力に依存してきたわけです。

 問題は、米国とロシアは中距離核戦力全廃条約(INF条約)の締結国であったため、地上発射型中距離ミサイルを保有していないこと。一方、中国は同条約の締結国でなかったため、合計1650発以上を保有。中国人は冗談でしょうが、「ズボンをはかなくとも、核をもつ」とよく言います。

 米国とロシアは新START条約における3つの削減目標をすべて達成し、相互の査察などを継続しています。他方、中国は2035年までに少なくとも1500発の保有を意図している可能性が高いのです。2025年の時点では、中国の軍事的影響力の範囲は西太平洋全体におよぶことが想定されます。米中の戦力バランスも中国優位に傾くと思わざるを得ません。

 現時点で中国は米軍と比較して7割強の戦力を保有し、米国とほぼ肩を並べているわけです。2027年の人民解放軍建軍100周年までに台湾解放を意図している可能性も高いと言われています。とはいえ、中国の弱点も見える昨今です。少子高齢化が進み、社会保障費が増大するため、軍事予算の制限もあり得るはずですから。

 極東ではロシアと中国による戦略的連携と軍事協力が進み、日米にとって懸念材料となっています。プーチン大統領が主張する「オホーツク海の聖域化」が進めば、日本は沈むこともあり得る話です。また、北朝鮮による核実験、弾道ミサイル発射も不安定要因となってきました。北朝鮮のミサイル能力が2017年以降向上しているのはウクライナからのロケット技術の提供が影響している模様です。

 第2次世界大戦後、自由で開かれた国際秩序の維持には米国の圧倒的な軍事力が大きな役割を演じてきました。しかし、状況は激変し、バイデン政権は「米国単独では対処できない」とし、同盟国への期待を大きく高めつつあります。いわゆる「統合的抑止」です。

 ミリー米統合参謀本部議長曰く「(中国が台湾に軍事侵攻した場合)日本の海上自衛隊、オーストラリア、英国、フランスの海軍を足し合わせれば、数でも攻撃力でも中国に勝る」。言い換えれば、日本の海上自衛隊が参戦しなければ、台湾の防衛は難しいというのが米国の本音と思われます。

 日本では防衛費を増加させますが、8割は国内消費です。ただし、最先端装備は米国頼みというアキレス腱を抱えています。今後は研究開発費を増加し、国産化を目指すべきです。日本の弱点は軍民分離で、中国の軍民融合の真逆といえます。また、国民保護を掲げながら、沖縄には緊急時の給水車が2台しかないというアンバランス。インフラも同様で、国民保護法が制定されても魂が入っていないわけです。官民挙げて、国防意識と具体的なインフラ整備を加速することが必要と思われます。でなければ、有事に自衛隊は国民保護の使命を果たせないことは自明の理といえそうです。

 来る12月、東京で日本ASEAN特別首脳会議が開催されます。日本ASEAN諸国にとって最善のシナリオは日本が中国と協力しながら、そこに韓国も加わるという構図です。ASEANプラス3や米国が加入しているESAなどを活用し、日本がスマートなリーダーシップを発揮してくれることをASEANは期待しています。南シナ海問題は難しい局面に至っていますが、日米は中国の行動をけん制すべく共同歩調を取っています。

 日本とすれば東シナ海のガス田開発をめぐる2008年の日中合意を当てはめる工夫をすべきでしょう。条約交渉には至っていませんが、日中両国が中間線で暫定水域の設置に合意した現実的なものです。南シナ海とは状況が異なりますが、日中外交が再開すれば、東シナ海の安定化を促進するきっかけとなる可能性を秘めています。

 次号「第364回」もどうぞお楽しみに!


著者:浜田和幸
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