2024年04月15日( 月 )

福岡市・防災担当「大地震に備える防災のポイント」(前)

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福岡市 市民局
防災・危機管理部長 森山 浩一 氏

福岡市 市民局 防災・危機管理部長 森山 浩一 氏

 1月1日午後4時10分、マグニチュード7.6、最大震度7の地震では、能登半島を中心に甚大な被害が発生した。石川県の発表資料(2月13日午後2時)によると、その被害状況は死者241人、負傷者1,184人、住家被害が全壊、半壊、一部損壊を合わせて6万5,570棟。福岡市における大地震発生について、私たちにはどのような課題があり、対策ができるのか──。石川県を中心に大規模な被害が発生した能登半島地震は、災害に対する備えの重要性について改めて市民に問いかける。そこで、福岡市の防災を担う防災・危機管理部の森山浩一氏に話を聞いた。

市民は地震に「不安」

 ──能登半島地震の発生を受け、防災・危機管理部では輪島市を支援する活動を行っていると聞いております。福岡市においてはどのような地震が発生し、どの程度の被害が発生すると考えられているのでしょうか。

 森山 まずは、今回の地震によりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。被災地の1日も早い復旧・復興をお祈りしております。

 福岡市内には(1)警固断層帯(南東部)のほか、(2)宇美断層、(3)日向峠──小笠木峠断層帯があります。地震の規模は、それぞれ、(1)M7.2、(2)M7.1、(3)M7.2と予想されており、30年以内の地震発生確率は、(1)0.3~6%、(2)ほぼ0%、(3)不明とされています。このうち、警固断層帯(南東部)については、市内中心部などで震度6強以上、市街地の広範囲で震度6弱が予想されており(図1)、福岡県による地震に関する防災アセスメント調査では、死者458人、負傷者3,171人、全壊4,523棟、半壊3,474棟の被害が想定されています。

 福岡市では、2005年の福岡県西方沖地震以降、幸いにも大きな地震は発生していませんが、全国各地で巨大地震が頻発していることもあり、23年に実施した市政に関する意識調査では、82%の市民が地震を不安に思っていると回答しています。一方で、家庭での備蓄をしている人は44%で、そのうち3日分以上の備蓄をしている人は56%にとどまっています。自助・共助・公助を円滑に連携させていくため、災害の危険性を訴えるだけでなく、いざというときの備えを促していくことが、防災・減災の観点からとても重要だと考えています。

 ──福岡市において、とくに注意すべき防災のポイントや福岡市の取り組みについて教えていただきたいのですが、まずは今回の能登半島地震でも発生した津波については、いかがですか。

 森山 今回の能登半島地震では、地震直後に、大津波警報が発表され、NHKのアナウンサーが強い口調で「すぐに逃げてください」と避難を呼びかけていたシーンは印象的で記憶に残っています。福岡市においては、今回の地震による津波は観測されませんでしたが、一時は津波注意報が発表されたところです。福岡市では、津波に備えて、津波ハザードマップを作成していますので、危険な地域を事前に確認しておき、海岸付近で地震の揺れを感じたり、津波警報などが発表された場合には、直ちに高い場所に避難するようにしていただきたいと思います。

マンション化率8割の福岡

 ──では、地震に対してはどのように備えておくべきでしょうか。

 森山 地震動そのものへの対応は、まず、建物の耐震性の確保が必要です。熊本地震後に国土交通省が行った調査では、木造建築物については、旧耐震基準、新耐震基準、耐震等級3の区分によって倒壊率に大きな差があり、鉄骨造・鉄筋コンクリート造建築物は、新耐震基準での倒壊はなかったとされています。

【図2】マンション防災マニュアル

    福岡市は、マンションなどの共同住宅の割合が、全国トップの約8割となっています。なかでも、都心部を縦断する警固断層沿いには、共同住宅が高密度に立地していることから、これらの災害対策は、防災・減災対策を進めるうえで、重要な課題となっています。マンションは、耐震・耐火性能などが戸建住宅に比べて優れた建物です。しかし、たとえば地震時にはエレベーターが使えなくなること、建物内の送水管・排水管の破損によりトイレなどが使用できなくなること、孤立しても気付かれにくいことなど、特有の問題も抱えています。福岡市では、マンション防災に特化した啓発冊子として「大地震に備えよう!マンション防災・減災マニュアル」(図2)を作成していますので、マンションにお住まいの方やビルにお勤めの方は、ぜひ一度ご参照ください。

【図3】ツナプラ画面
【図3】ツナプラ画面

    ──能登半島地震について連日テレビで避難所の様子が放送されていますが、避難する際の注意点などについて教えてください。

 森山 福岡市は、警固断層に沿って人口が集中しており、これは、地震で被害を受けた面積あたりの被災者が増えることを意味します。大規模地震が発生した場合、公民館や小学校などを避難所として直ちに開設することとしていますが、当然、校区内の人口すべてを公民館と小学校だけでは受け入れられません。「避難」というと、避難所への避難を想像される方が多いと思いますが、避難所は住宅の倒壊などにより、自宅で生活することが困難になった方々が一時的に身を寄せる場として開設するものです。慣れない環境で体調を崩される方もいるため、自宅の建物が安全であれば、住み慣れた我が家で在宅避難ができるよう、最低3日間分、できれば7日間分程度の食料・飲料水や便袋を備蓄しておくなど、日ごろからの備えが大切となります。

 在宅避難では、行政の支援が受けられない、避難所に比べて情報が入手できないと不安に思われるかもしれませんが、心配はありません。福岡市では、防災アプリ「ツナガル+」(図3)を運用しており、指定外の避難所から市への情報発信や市からの支援情報の入手などが可能ですので、ぜひ事前にダウンロードしておいてください。避難については、「避難生活ハンドブック」(図4)を作成しており、在宅避難だけでなく、避難所へ行く前の確認事項などもまとめていますので、こちらもぜひご参照ください。

【図4】避難生活ハンドブック
【図4】避難生活ハンドブック

(つづく)

【田中 直輝】

(後)

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