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2015年10月15日 14:16

地元福岡の人々の心に残る博多の風景としてありたい 「未来を切り拓く」福岡への提言200人  博多21の会 

(株)石村萬盛堂 代表取締役 石村 僐悟

代々受け継がれた家伝を信条に

 石村家は、代々宮大工として奈良屋町にあった。身体が弱かった石村善太郎氏は、家業を継続していくことに危惧し転身を図る。神仏に関わるものとして菓子に注目。「お供えするのに相応しいお菓子づくり」を掲げ、それを生業とする世界へ身を置いた。(株)石村萬盛堂の初代善太郎氏は、新派劇の父と言われる川上音二郎の自宅1階を間借りして菓子屋を始める。当時の福岡では、郷土菓子として鶏卵素麺や団子、最中などが中心に製造されていた。

鶴乃子『濃い茶おぐら』<

鶴乃子『濃い茶おぐら』

 日露戦争終結の1905年、戦勝に湧く博多のまちに石村萬盛堂は誕生し、その後太平洋戦争で事業を一時中断するが、終戦直後の1945年、2代目善右氏により再興された。善右氏は日本で最古の禅寺「聖福寺」の住持仙厓和尚(1837没)をモチーフとした菓子づくりの許可を得て、同社の代表的な菓子『これくふて 仙厓せんべい』『仙厓さんもなか』などを考案。
 3代目現社長の僐悟氏は71年に入社。洋菓子の「ボンサンク」ブランドを立ち上げ、主力商品『鶴乃子』を販売拡大するためホワイトデーを考案するという戦略家。同社の商品アイテムは日本最大級で、常時400~800の和洋菓子を製造販売している。
 「代々受け継がれた家訓はたくさんあります。『人が角いものを作るなら、こちらは丸い物を作れ』『身の丈以上のことはするな』など。なかでも、創意工夫と独創は大事にしていることの1つです」と僐悟氏は語る。初代から独創性を商品づくりの信条としてきた同社だが、3代目の今も脈々と受け継がれている。

心に残る風景としてありたい

 日本の三大銘菓の1つに数えられる鶏卵素麺は、江戸時代にポルトガルからもたらされた。明治期になると、福岡の菓子屋ではどこでもつくられる一般的なものとなり、同社でも創業当時から製造されてきた。卵黄と糖蜜だけでつくられるため、卵白が大量に余る。それを用いて新たに開発された菓子が、初期の『鶴乃子』である。泡立てた卵白に餡を詰めた『淡雪』のような菓子を、卵の殻のなかに入れて販売していた。日持ちがしなかったので、海外からマシュマロの製法が伝わるとすぐに今の形態に変わったのだという。

turunoko2 創業まもなく、石村萬盛堂の主力はマシュマロに黄身餡を包んだ『鶴乃子』となる。鶴乃子は技術的には洋菓子。石村萬盛堂はいわゆる和菓子の老舗ではなく、和洋折衷、古くから両方の技術があるところが強みだ。昨年12月、創業110年を記念して、鶴乃子『濃い茶おぐら』を発売した。八女星野村の抹茶を使用したマシュマロで、北海道産小豆の粒あんを包んだ。甘めのあんに、香り高い抹茶の風味がよく合う。
 「石村萬盛堂は、人々の心に残る、博多の風景としてありたい」と僐悟氏。伝統を維持しつつ、それを打ち破る「守破離」を企業理念の根本としておく同社は、博多っ子の心をぎゅっと掴む美味しい菓子づくりに日々邁進している。

■INFORMATION
(株)石村萬盛堂
代 表:石村 僐悟
所在地:福岡市博多区須崎町2-1
資本金:3,600万円
TEL:092-291-5090
URL:http://www.ishimura.co.jp/

<プロフィール>
isimura石村 僐悟(いしむら ぜんご)
1967年、福岡県立修猷館高校卒業。71年、東京大学経済学部卒業。79年、3代目として(株)石村萬盛堂代表取締役社長に就任。趣味は、謡曲と読書。

 
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