2024年04月30日( 火 )

中国の産業都市は珠江デルタと長江デルタ地域に集中

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 スーツケース・バッグなら保定、婦人靴なら温州、おもちゃなら汕頭、家具なら仏山、照明器具なら中山(いずれも広東省)……特定の商品を購入したい場合、その商品の種類が多く、品質が良いのはどの地域なのか、中国のオンラインショッピング利用者の多くは、その「地図」がおおよそ頭に入っている。そして、そうした地域の商品供給を支えているのが、各地の産業クラスターと産業ベルトだ。

 このほど発表された「淘天100億産業ベルト報告」によると、2023年に取引額が100億元(約2,088億円)を超えた産業ベルトは計50あった。これらの産業ベルトは金華、広州、杭州、仏山、嘉興、保定など中国の21都市に分布しており、その品目は婦人服、住宅家具、携帯電話、美容・スキンケア、宝飾品など多岐にわたる。

 今回の報告書は地級市(省と県の中間にある行政単位)以上の都市単位で統計をとり、ショッピングサイトの淘宝、天猫、1688(いずれもアリババ社)であるカテゴリーの商品の年間合計取引額が100億元以上の産業ベルトを「100億産業ベルト」とした。

 同報告書によると、今回の「淘天100億産業ベルト」第1回統計の結果、100億産業ベルトは珠江デルタ地域と長江デルタ地域に集中している。両地域は製造業とECが中国で最も発達している地域でもある。

 省別では、強大な製造業基盤と商業貿易の優位性を持つ広東省が最も多く、100億産業ベルトの数が21にも達した。そのうち広州、深圳、仏山、東莞など珠江デルタの都市では、婦人服、住宅家具、携帯電話、3Cデジタル(パソコン、携帯電話、家電)部品などの産業ベルトが目立った。

珠江デルタ イメージ

    都市別では、義烏という「日用品の中心地」を擁する金華が、100億産業ベルトが8つで全国最多の都市となった。金華が100億産業ベルトの数でトップに立ったのは、その管轄下に製造業基盤が強い県級市を複数擁することによる。そのうち義烏では、文房具・事務用品、収納・整理、スポーツ・アウトドアなどの在来産業が新たな消費トレンドに乗り、ネット通販時代の人気産業となった。永康のスポーツ・アウトドア産業ベルトでは、1000社以上あるコードレスドライバードリルの在来企業が流行のマッサージガンのメーカーとなった。このほか、広州と深圳は100億産業ベルトがいずれも5つに達し、泉州は100億産業ベルトが4つとなった。保定ではカバンが最も北にある100億産業ベルトとなり、贛州では住宅家具が100億産業ベルト入りをはたした。

 品目別では、服飾品目の100億産業ベルトが23とほぼ半数を占めており、このうち婦人服の100億産業ベルトが9つに達した。広州の婦人服は、淘宝と天猫で全国初の1,000億元以上に達した超大型産業ベルトであり、「淘宝村」と呼ばれる大源村だけで取引規模が100億元を超えた。

 同報告書は50の100億産業ベルトのほか、年間取引額が10億元を超え、かつ前年比の成長率がトップ30入りした成長型産業ベルトについても関連データの統計をとっており、この基準に達した都市には鄭州、北海、邢台、吉安など地級市以上の24都市が含まれていた。同報告書の統計によると、規模の大きな産業ベルトは消費財産業に集中し、成長率の高い産業ベルトは工業製品産業に多い。

 業界関係者の分析によると、ECプラットフォームの発展にともない、生産・加工段階は「3線都市」「4線都市」および県域で行われるケースがますます増えている。同時に、取引コストが下がり続け、産業ベルトの各段階の業務はより広い地域での分業・協力が可能となっている。この傾向は成長型産業ベルトで最も顕著だ。

 勢いよく発展するこうした中国の産業ベルトは、ECと産業の20年余りの融合的発展の結果だ。国家統計局のデータによると、2023年、全国のネット小売額は前年比11%増の15兆4,264億元で、消費財小売総額の27.6%を占めた。ECの浸透率が高まり続けるなか、新たな100億産業ベルトが成長している。

 産業ベルトの育成と発展はまた、国産品による起業やブランド創出のチャンスをも意味している。2023年4月から11月までの間に、広東省では天猫に新規参入したブランドの数が1万2,000を超え、前年同期比49.4%増加となった。浙江省では、天猫に新規参入したブランドの数が7,000を超え、同51.7%増加となった。2023年、最もホットなブランド起業分野となったのはスキーで、南恩、Awka、Snowlineなどの国産スキーブランドが消費者のニーズをつかみ、業界の「トップランナー」の仲間入りをはたした。


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